R1-3遺言
遺言に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
1 アイ 2 アウ 3 イエ 4 ウオ 5 エオ
ア 未成年者であっても、15歳に達していれば、法定代理人の同意がなくとも、有効な遺言をすることができる。
○
遺言は、 未成年者であっても、15歳に達していれば単独で有効にすることができる(民法961 条)。
イ 自筆証書遺言の作成日付を「平成31年1月吉日」と記載した遺言も有効である。
×
自筆証書遺言は,遺言者が,その全文,日付,氏名を自書し,これに押印することで成立するが、(民法968条1項)
この自筆証書遺言の日付として,「昭和41年7月吉日」と記載された証書は、民法968条1項にいう日付の記載を欠くものとして無効とされる(最判昭54.5.31)。
ウ 自筆証書遺言については、印章に代えて、指頭に朱肉を付けて押捺することができる。
○
自筆証書遺言は、遺言者が,その全文,日付,氏名を自書し,これに押印することで成立し、(民法968条1項)
遺言への押印は、実印に限らず認印でもよく,さらに指印(指頭に朱肉を付けた押捺)でもよい(最判平元.2.16)。
エ 遺言者が口がきけない者である場合には、公正証書遺言を利用することはできない。
×
公正証書遺言は、証人2人以上の立会いの下,公証人に遺言の趣旨を原則として口授するが、
口授に代え,公証人が,遺言者の通訳人の通訳による申述または自書を筆記し,これを遺言者及び証人に読み聞かせや閲覧をさせる方法をとることもできる(民法969条の2第1項)。
オ AとBが同一の紙面にそれぞれの遺言と日付を記載した場合において、その紙面にAが署名押印をし、Bが署名押印をしていないときは、A単独の遺言として有効となる。
×
共同遺言は、2人以上の者が同一の証書で遺言をすることであり、
各遺言者の意思表示の自由を妨げること、そのうちの1人の撤回の自由を制限すること,
一部に無効原因があった場合の処理等に複雑な法律関係が発生するため、
共同遺言は禁止されている(民法975条)。
よって、AとBが同一の紙面にそれぞれの遺言と日付を記載した場合、遺言として有効とならない。