H30-2付合
付合に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
1 アイ 2 アエ 3 イオ 4 ウエ 5 ウオ
ア 土地を使用する権原を有しない者が当該土地に小麦の種をまき、これを育てた場合には、育成した小麦の所有権は、種をまいた者に帰属する。
×
不動産の所有者は、その不動産に従として付合した物の所有権を取得するため、(民法242条)
土地を使用する権原を有しない者が当該土地に小麦の種をまき、これを育てた場合には、育成した小麦の所有権は、土地の所有者に帰属する。
イ 建物の賃借人が賃貸人の承諾を得て当該建物を増築した場合であっても、その増築部分が取引上の独立性を有しないときは、当該賃借人は、当該増築部分の所有権を取得しない。
○
増改築部分が当該建物と別個独立の存在を有せず,その構成部分となっている場合、取引上の独立性を有しなため、増築部分は当該建物の所有者に帰属する(最判昭38.5.31)。
ウ BがAからAの所有する土地を買い受けて立木を植栽した後に、Cが当該立木とともに当該土地をAから買い受けてその所有権の移転の登記を備えた場合には、Bは、当該立木につき対抗要件を備えていなくとも、Cに対し、当該立木の所有権を主張することができる。
×
土地の譲渡と立木所有権の譲渡が発生した場合、
登記の具備と明認方法の具備の先後で決するため、(最判昭35.3.1)。
Bは,Cが所有権の移転の登記を備える前に,当該立木につき対抗要件(明認方法)を備えていなければ、Cに対し,当該立木の所有権を主張することができない。
エ Aが所有する甲動産に甲動産の賃借人Bが所有する乙動産が付合したときは、甲動産が主たる動産であったとしても、Bは、乙動産の所有権を失わない。
×
付合した動産について主従の区別ができる場合、主たる動産の所有者の物になるため、(民法243 条)
Aが所有する甲動産に甲動産の賃借人Bが所有する乙動産が付合したときは、甲動産が主たる動産であったときは、Bは、乙動産の所有権を失う。
オ 不動産の付合によって付合した物の所有権を喪失し、損失を受けた者は、当該不動産の付合によって所有権を取得した者に対し、その償金を請求することができる。
○
付合,混和または加工の規定の適用によって損失を受けた者は、
不当利得の規定に従い, その償金を請求することができる(民法248条)。