H29-21土地書式
土地家屋調査士法務民子は、甲野太郎及び甲野次郎から、次の〔調査図素図〕に示すA市B町字C100番の土地(以下「甲土地」という。)、101番の土地(以下「乙土地」という。) 及び 102番の土地(以下「丙土地」という。)の表示に関する登記に関する相談を受け、【土地家屋調査士法務民子の聴取記録の概要】のとおり事情を聴取し、必要な表示に関する登記の申請手続等の代理について依頼を受け、【土地家屋調査士法務民子による調査及び測量の結果の概要】のとおり必要な調査や測量を行った。
以上に基づき、次の問1から問4までに答えなさい。
〔調査図素図〕
①前文、調査図素図:「申請人」、「対象土地」、「申請する登記」を読み取る。
・申請人:甲野太郎及び甲野次郎
・対象土地:A市B町字C100 番(甲土地), 101 番(乙土地)及び 102番(丙土地)の計3筆
・申請する登記:不明
問1 【土地家屋調査士法務民子の聴取記録の概要】及び【土地家屋調査士法務民子による調査及び測量の結果の概要】から、〔調査図素図〕上のC点,H点及びI点の座標値を求め、別紙第21問答案用紙の第1欄に記載しなさい。
③ 問:先に問を読み、別紙の 「○:重要事項」を知る。この時点で「×:理解できない部分」は読み飛ばす。
・問1:○:C,H及び I の各点の座標値を求める→答案構成用紙に点名を書く
問2 土地家屋調査士法務民子は、甲野太郎及び甲野次郎から、【土地家屋調査士法務民子の聴取記録の概要】5のとおり、合筆の登記の申請をした上で分筆の登記の申請をしてほしい旨の依頼を受けた。この依頼を果たすために、分筆の登記の申請のために地積の更正の登記を申請する必要があるか、地積の更正の登記を申請することの要否及びその理由について、別紙第21問答案用紙の第2欄に記載しなさい。
・問2:地積更正登記の要否:×
問3 別紙第21問答案用紙の第3欄の登記申請書の空欄を埋めて、依頼を受けた分筆の登記の申請書を完成させなさい。ただし、分筆の登記以外に必要な土地の表示に関する登記(合筆の登記を除く。)がある場合は、一の申請情報により申請するものとする。また、地積は測量の結果である座標値を用いて座標法により求積するものとする。
・問3:分筆の登記申請書 :×
分筆の登記以外に必要な土地の表示に関する登記(合筆の登記を除く。)を一の申請情報により申請
→分筆登記は同一の土地についてする表題部の変更または更正の登記と一の申請情報によりすることができる
問4 別紙第21問答案用紙の第4欄を用いて、問3の登記の申請書に添付する地積測量図を完成させなさい。
・問4:分筆の地積測量図の作図 : ×
(注)
1 本問における行為は全て適法に行われており、法律上必要な書類は全て適法に作成されているものとする。
2 登記の申請は,書面申請の方法によってするものとする。
3 座標値は、計算結果の小数点以下第3位を四捨五入し,小数点以下第2位までとすること。
4 地積測量図には、今回の測量の結果である座標値から求めた筆界点間の辺長を、計算結果の小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位までを記載すること。
5 地積測量図には、各筆界点の座標値、平面直角座標系の番号又は記号、地積及びその求積方法並びに測量年月日は,記載することを要しない。
6 A市基準点の各点は,地積測量図にその地点を明示して点名を付して記載することとし、座標値を記載することを要しない。
7 A市基準点成果表を用いて行う測量においては、距離に関する補正計算は行わないものとする。
8 解答に当たって関数の値が必要となる場合には、次の【三角関数真数表】の値を用いること。
9 訂正、加入又は削除をしたときは、訂正は訂正すべき字句に線を引き、近接箇所に訂正後の字句を記載し、加入は加入する部分を明示して行い、削除は削除すべき字句に線を引いて、訂正、加入又は削除をしたことが明確に分かるように記載すること。ただし、押印や字数を記載することは要しない。
10 問3及び問4は、【土地家屋調査士法務民子による調査及び測量の結果の概要】 1 (6)の内容を反映して記載すること。
②注意事項:「×例年同様な事項」、「○例外的な事項」をチェック。
・注1:適法であり書類が揃っている:×
・注2:書面申請:×
・注3:辺長は小数点以下3位を四捨五入:×
・注4:座標値は小数点以下3位を四捨五入:×
・注5:地積測量図の記載事項:○地積測量図に不動産登記規則 77 条等による事項を記録
1 地番区域の名称
2 方位
3 縮尺
4 地番(隣接地の地番を含む。)
5 筆界点の座標値と地積及びその求積方法
6 筆界点間の距離(単位の表示も含む。)
7 平面直角座標系の番号又は記号
8 筆界点の名称及び種類
9 基本三角点等の名称及び座標値
10 測量の年月日
11 申請人の記名
12 作成者の署名又は記名押印(調査士が作成者の場合は職名と職印)
13 分筆後の土地の符号
14 作成年月日
→本問では、5 筆界点の座標値と地積及びその求積方法、7 平面直角座標系の番号又は記号、10 測量の年月日は、記載しないが、
8 筆界点の名称及び種類、6 筆界点間の距離と単位の表示は、記載する。
・注6:基準点の記載:○本問では、9 基本三角点等の名称及び座標値は不要だが、地積測量図中にF市基準点をプロットし、名称を付す。
・注7:訂正方法:×
【土地家屋調査士法務民子の聴取記録の概要】
1 甲野一郎は死亡しており,その相続人は,甲野太郎及び甲野次郎の2名のみである。
④別紙:③問に答える「○:重要事項」を読み取る。
別紙1:【土地家屋調査士法務太郎の聴取記録の概要】
・当該地の所有権登記名義人である甲野一郎は死亡し、相続人は甲野太郎及び甲野次郎(=申請人)だけ
→相続証明書を添付し、被相続人名義で登記
→添付情報に「相続証明書」と書く
2 甲野太郎は,遺産分割協議により、〔調査図素図〕に示す家屋番号100番の建物(以下「丁建物」という。)並びに甲土地、乙土地及び丙土地(以下,これらの土地を合わせて「対象土地」という。)のうち東側の土地(〔調査図素図〕のB,C,D,I, H及びBの各点を順次直線で結んだ部分。以下「A区画」という。)を相続し、甲野次郎は、遺産分割協議により、対象土地のうち西側の土地(〔調査図素図〕のA, H, I, E及びAの各点を順次直線で結んだ部分。以下「B区画」という。)を相続した。
・遺産分割協議により甲野太郎がA区画, 甲野次郎がB区画を取得
→どちらかの相続人に分筆の意思がない場合でも, 分筆が可能
3 甲野太郎の住所はA市B町100番地である。甲野次郎の住所はA市D町210番地である。
・申請人の住所→登記申請書に記載
4 甲野一郎は、対象土地を丁建物の敷地として利用していた。
・対象土地の全部を丁建物の敷地として利用→地目は宅地
・分筆後のB区画も建物の敷地として利用されていくかは不明
5 甲野太郎及び甲野次郎は,先に対象土地を合筆する合筆の登記を申請した上で、続けて対象土地を2つに分筆する分筆の登記の申請をする意思を有している。
・合筆と分筆は申請者の意思が必要な形成的登記
→相続人の全員の意思を確認
・土地分合筆登記を申請するのではなく,合筆登記を申請した後に、分筆登記を申請
→合筆制限等があるか不明
6 甲野太郎及び甲野次郎は、対象土地を分割する線(〔調査図素図〕のH点とI点とを結ぶ直線)を、丁建物の側面(〔調査図素図〕のF点とG点とを結ぶ直線)に平行で、その西側に1.00m離れたものとすることを希望している。ただし、対象土地の分筆後も、全体を丁建物の敷地として利用する予定である。
・分筆の分割線が建物側面から 1.00m平行移動した線
→交点計算が必要
・分筆後も全体を丁建物の敷地として利用する予定
→地目変更登記の必要なし
→問2に関して、地積更正登記と分筆登記を一の申請情報でするか?
7 甲野一郎の相続に係る登記手続については、まだ行われていない。
・相続に係る登記手続が行われていない
→被相続人名義で相続人から登記申請
【土地家屋調査士法務民子による調査及び測量の結果の概要】
1 資料に関する調査の結果
(1) 対象土地に関する最新の登記記録等の調査結果
(表題部)
所在 A市B町字C
地番 100番
地目 宅地
地積 115.70m2
(権利部)
甲区 A市B町 100番地 甲野一郎
乙区(登記事項なし)
(表題部)
所在 A市B町字C
地番 101番
地目 宅地
地 積 132.23m2
(権利部)
甲区 A市B町 100番地 甲野一郎
乙区(登記事項なし)
(表題部)
所在 A市B町字C
地番 102番
地目 宅地
地 積 49.59 m2
(権利部)
甲区 A市B町 100番地甲野一郎
乙区(登記事項なし)
④別紙:③問に答える「○:重要事項」を読み取る。
別紙2:【土地家屋調査士法務民子による調査及び測量の結果の概要】
別紙 2-1 : 資料調査結果
・合筆する3筆の登記記録から、合筆制限があるか否かを読み取る
→以下の土地は合筆することができない。
1 相互に接続していない土地
2 所有者や土地の表示が異なる土地
3 所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地
→3筆の登記記録によると、相互に接続し,地目と甲区所有者が同一,乙区権利に関する登記がない
→合筆制限に当たらず, 合筆登記できる
(2) 丁建物に関する最新の登記記録等の調査結果
(表題部)
所 在 A市B町字C 100 番地,101 番地,102番地
家屋番号 100番
種 類 居宅
構造 木造スレートぶき2階建
床面積 1階 42.68m2 2階 42.68m2
(権利部)
甲区 A市B町 100番地 甲野一郎
乙区(登記事項なし)
・丁建物の表題部の所在について,底地の分筆登記により所在を変更する
(→本問では問われず)
(3) 地図等に関する調査の結果
対象土地の地域には、不動産登記法第14条第1項の地図は備え付けられておらず、同条第4項の地図に準ずる図面が備え付けられている。
また、対象土地の地域は、不動産登記規則第10条第2項第1号の市街地地域に属する。
・対象土地の地域は、市街地地域
→精度区分は甲2
→(7) 公差の表の「甲2」に印をつける
(4) 地積測量図に関する調査の結果
ア 対象土地については、地積測量図が備え付けられていない。
イ 対象土地の隣接地であるA市B町字C99番3,103番2,110番1及び110番2の各土地については、いずれも地積測量図が備え付けられている。
・対象土地には地積測量図がない。隣接地には地積測量図がある。
→対象土地の地積は、登記記録に記載された地積
→対象土地(3筆)間の筆界が不明→合筆して不明な筆界を解消→分筆
(5) A市道路管理課における道路境界の調査の結果
A市道路管理課において、道路境界の調査を行った結果、対象土地については道路境界 の確定がされていた。
(6) 分筆の登記の予定地番の調査の結果
法務局において、A区画を100番1、B区画を100番2とする予定地番の確認を行った。
・問3及び問4では,この予定地番を用いて解答
→合筆後の地番は100番→分筆後はA区画を100番1、B区画を100番2
(7) 対象土地の地積測定の公差
(7) 地積測定の公差
分筆前の地積を基準にした地積測量図の誤差の限度以上の差があるときは,地積更正登記を併せて申請する
→分筆前の地積(=合筆後の地積)に該当する対象面積で、「甲2」判定
2 対象土地の利用状況,境界標の状況並びに立会い及び測量の結果
(1) 対象土地の利用状況
各土地の利用状況は、【土地家屋調査士法務民子の聴取記録の概要】のとおりである。
(2) 境界標の状況に関する調査
ア 〔調査図素図〕のA点,B点,D点及びE点にはコンクリート杭が設置されている。
イ 甲土地と乙土地との間及び乙土地と丙土地との間の各筆界を確認するために、境界標を掘り起こす作業を行ったが、これを見つけることはできなかった。
④別紙:③問に答える「○:重要事項」を読み取る。
別紙 2-2 : 対象土地の利用状況,境界標の状況並びに立会い及び測量の結果
・境界標の種類→地積測量図の作図に使用
(3) 立会い等
ア A市道路管理課職員から道路に関する境界について問題がないことの確認が得られ た。
また、今回の測量の結果とA市備付道路境界図が一致していることを確認した。
イ 〔調査図素図〕のC点の境界標が亡失していたため、隣接地の所有者の確認を得た上で、登記所備付資料の地積測量図に基づいた復元位置にコンクリート杭を埋設した。土地家屋調査士法務民子による検証の結果、現地の境界標と登記所備付資料の地積測量図の座標成果は整合していることが確認された。
ウ 上記ア及びイの確認結果に加え、隣接地の所有者と既存の境界標を確認したところ、問題は認められなかったので、〔調査図素図〕のH点とI点に金属標を設置した。
・境界標の種類→地積測量図の作図に使用
(4) 測量の結果
A市基準点である〔調査図素図〕のA201点及びA202点並びに関連する基準点の点検測 量を行った結果、許容誤差内にあることを確認した。そこで、〔A市基準点成果表〕の値をもって、筆界点の観測を行い、次のとおり観測値と筆界点の座標値を得た。
ア 〔A市基準点成果表〕
イ 〔測量によって得られた観測値〕
(注)
1 観測角は、後視方向を0°として時計回りの角度を示す。
2 北は、X軸正方向に一致する。
ウ 〔測量によって得られた座標値〕
・C点は、A201 と A202 の放射計算で求める
答案用紙
1.問題把握
手順①~④により問題把握が完了。
①前文、調査図素図:「申請人」「対象土地」「申請する登記」を読み取る。
②注意事項:「×例年同様な事項」、「○例外的な事項」をチェック。
③問:先に問を読み、別紙の 「○:重要事項」を知る。この時点で「×:理解できない部分」は読み飛ばす。
④別紙:③問に答える「○:重要事項」を読み取る。
・申請人:甲野太郎及び甲野次郎
・申請する登記①A市B町字C100 番(甲土地), 101 番(乙土地)及び 102番(丙土地)の計3筆を1筆にする土地合筆登記を申請(合筆制限にあたらないことを確認済)
・申請する登記②分筆登記(または地積更正・分筆登記を一の申請情報で)申請
→登記申請書、地積測量図は、②の登記について作成
→地積更正については、作図・求積後に判断
解答例