H27-11代位申請
登記の代位申請に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
1 アイ 2 アオ 3 イウ 4 ウエ 5 エオ
ア BがAが所有権の登記名義人となっている土地をAから賃借し、Aの承諾を得てその一部をCに転貸した場合には、Cは、Aに代位して、転貸に係る土地部分を分筆する分筆の登記を申請することができる。
×
債権者が自己の債権を保全する必要性がある場合,債務者に代位して, 当該表示に関する登記を申請することができる(民法423条)。
BはAから土地の全部を賃借しており、分筆しなければ自己の債権が保全されないものではなく、(さらに賃借権には登記請求権がないため、)
Cは、Aに代位して、転貸に係る土地部分を分筆する分筆の登記を申請することはできない。
イ 一筆の土地の一部について地役権の設定を受けた地役権者は、代位による分筆の登記を申請することができる。
×
債権者が自己の債権を保全する必要性がある場合,債務者に代位して, 当該表示に関する登記を申請することができる(民法423条)。
地役権は土地の一部について設定することができ、地役権者は分筆しないと自己の債権=地役権設定登記請求権が保全されないものではないため、
一筆の土地の一部について地役権の設定を受けた地役権者は、代位による分筆の登記を申請することができない。
ウ A及びBを所有権の登記名義人とする土地について、AがBに対して共有物分割の訴えを提起し、確定判決を得た場合には、Aは、その正本を代位原因を証する情報として提供して、Bに代位して分筆の登記を申請することができる。
○
債権者が自己の債権を保全する必要性がある場合,債務者に代位して, 当該表示に関する登記を申請することができる(民法423条)。
本肢のように、AB共有名義の土地について、AがBに対して共有物分割の訴えを提起し確定判決を得た場合には、Bがそのその所有権移転登記をする前提としての土地の分筆の登記を申請しない場合、
Aは、所有権移転登記請求権を保全するため,債権者代位によりBに代位して分筆の登記を申請することができる。
同様に代位原因が所有権移転登記請求権である典型例は、
1筆の土地の一部を売買により取得した者Aは,売主B(土地所有者)がその所有権移転登記をする前提としての土地の分筆の登記を申請しない場合,
Aは、所有権移転登記請求権を保全するため,債権者代位によりBに代位して分筆の登記を申請することができる。
エ 一筆の土地の一部について処分禁止の仮処分の決定を得た債権者は、仮処分の登記の前提として、当該決定の正本を代位原因を証する情報として提供して、当該土地の所有権の登記名義人に代位して分筆の登記を申請することができる。
○
債権者が自己の債権を保全する必要性がある場合,債務者に代位して, 当該表示に関する登記を申請することができる(民法423条)。
本肢のように1筆の土地の一部について処分禁止の仮処分の決定を受けた債権者は,仮処分の前提として,代位による土地分筆登記を申請することができる。
民事保全法53条
(不動産の登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分の執行)
第五十三条 不動産に関する権利についての登記(仮登記を除く。)を請求する権利(以下「登記請求権」という。)を保全するための処分禁止の仮処分の執行は、処分禁止の登記をする方法により行う。
オ 農地法第5条の規定による都道府県知事の許可の前に農地の一部を買い受けた者は、条件付所有権移転の仮登記をする前提として、代位による分筆の登記を申請することはできない。
×
債権者が自己の債権を保全する必要性がある場合,債務者に代位して, 当該表示に関する登記を申請することができる(民法423条)。
本肢のように1筆の土地の一部について農地を買い受けた者は,所有権移転登記の仮登記をする前提として,代位による土地分筆登記を申請する ことができる。
法105条2号
(仮登記)
第百五条 仮登記は、次に掲げる場合にすることができる。
二 第三条各号に掲げる権利の設定、移転、変更又は消滅に関して請求権(始期付き又は停止条件付きのものその他将来確定することが見込まれるものを含む。)を保全しようとするとき。
民法423条1項
(債権者代位権の要件)
第四百二十三条 債権者は、自己の債権を保全するため必要があるときは、債務者に属する権利(以下「被代位権利」という。)を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利及び差押えを禁じられた権利は、この限りでない。