H26-1行為能力
成年後見、保佐又は補助に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
1 アウ 2 アエ 3 イエ 4 イオ 5 ウオ
ア 成年被後見人は、意思能力のある状態で日常生活に関する法律行為をした場合であっても、その法律行為を取り消すことができる。
成年被後見人の法律行為は,取り消すことができる。ただし,日用品の購入その他日常生活に関する行為(食料品等の生活用品を買う,ガス・水道を利用する契約をする等)については、取り消すことができない(民法9条ただし書)。
イ 本人以外の者の請求により後見開始、保佐開始又は補助開始の審判をする場合には、いずれの場合も本人の同意がなければならない。
本人以外の者の請求により補助開始の審判をするには,本人の同意が必要であるが、(民法15条2項)
本肢にある後見開始または保佐開始の審判には、本人の同意は必要ではない。
ウ 被保佐人が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない。
制限行為能力者が,行為能力があるかのように偽って行為をした場合、法の保護に値しせず、取り消すことができなくなる(民法21条)。
エ 成年被後見人が事理を弁識する能力を欠く常況にないこととなった場合には、後見開始の審判は直ちに失効し、成年被後見人は行為能力を回復する。
成年被後見人が事理を弁識する能力を欠く常況にないこととなった等、後見開始の審判を受けた原因が消滅したときは、本人,配偶者,4親等内の親族,後見人,後見監督人または検察官の請求により、後見開始の審判を取り消さなければならない(民法10条)。
本肢のように成年被後見人の行為能力が回復しない。
オ 成年後見人は財産に関する法律行為一般について代理権を有し、保佐人及び補助人は家庭裁判所の審判により付与された特定の法律行為について代理権を有する。
成年後見人は,成年被後見人を代理して財産の管理および財産に関する法律行為を行う (民法859条1項)。
また,保佐人および補助人は,個別の審判で特定の法律行為について代理権を付与されている場合に,被保佐人および被補助人を代理して法律行為を行う (民法876条の4第1項、民法876条の9第1 項)。