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H22-18土地分筆登記

分筆の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。

1 アイ   2 アウ   3 イオ   4 ウエ   5 エオ

 

ア 共有物分割の裁判によって共有の土地が分割された場合において、一部の共有者が分筆の登記の申請に協力しないときは、他の共有登記名義人がその者に代位して当該土地の分筆の登記を申請することができる。

 

正しい

 

共有物分割の裁判又は訴訟上の和解により

共有の土地が分割された場合において、

共有登記名義人の一部の者が登記の申請をしないときは、

他の共有登記名義人が

共有物分割の確定判決

又は和解調書の正本

を代位原因を証する書面として提供し、

その者に代位して

分筆の登記を申請することができる。 (平成6・1・5民三265号回答)

 

法39条(分筆又は合筆の登記)

第三十九条 分筆又は合筆の登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない。
2 登記官は、前項の申請がない場合であっても、一筆の土地の一部が別の地目となり、又は地番区域(地番区域でない字を含む。第四十一条第二号において同じ。)を異にするに至ったときは、職権で、その土地の分筆の登記をしなければならない。
3 登記官は、第一項の申請がない場合であっても、第十四条第一項の地図を作成するため必要があると認めるときは、第一項に規定する表題部所有者又は所有権の登記名義人の異議がないときに限り、職権で、分筆又は合筆の登記をすることができる。

  

 

イ 所有権移転請求権保全の仮登記がされている甲土地から乙土地を分筆する場合には、分筆後の乙土地について仮登記権利者が権利の消滅を承諾したことを証する情報が提供されたときであっても、分筆後の乙土地の登記記録には当該仮登記が転写される。

 

誤り

 

土地の分筆の登記を申請する場合は、

所有権の登記以外の権利に関する登記に係る権利を

分筆後のいずれかの土地について消滅させることを承諾したことを証する情報を提供することができるが、(法40条)

この消滅承諾により消滅したとすることができるのは、

所有権の登記以外の権利及びその仮登記に係る権利

並びに買戻権のほか、

所有権に関する仮登記に係る権利をこれに含む。(登記研究)

 

よって、

所有権移転請求権保全の仮登記がされている甲土地から

乙土地を分筆する場合には、

分筆後の乙土地について仮登記権利者が権利の消滅を承諾したことを証する情報が提供されたときは、

分筆後の乙土地の登記記録には、当該仮登記は転写されない。(規則104条2項)

 

法40条(分筆に伴う権利の消滅の登記)

(分筆に伴う権利の消滅の登記)
第四十条 登記官は、所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地について分筆の登記をする場合において、

当該分筆の登記の申請情報と併せて当該権利に関する登記に係る権利の登記名義人(当該権利に関する登記が抵当権の登記である場合において、抵当証券が発行されているときは、当該抵当証券の所持人又は裏書人を含む。)が当該権利を分筆後のいずれかの土地について消滅させることを承諾したことを証する情報が提供されたとき(当該権利を目的とする第三者の権利に関する登記がある場合にあっては、当該第三者が承諾したことを証する情報が併せて提供されたときに限る。)は、

法務省令で定めるところにより、当該承諾に係る土地について当該権利が消滅した旨を登記しなければならない。

 

規則104条(分筆に伴う権利の消滅の登記)

第百四条 法第四十条の規定による権利が消滅した旨の登記は、分筆の登記の申請情報と併せて次に掲げる情報が提供された場合にするものとする。
一 当該権利の登記名義人(当該権利が抵当権である場合において、抵当証券が発行されているときは、当該抵当証券の所持人又は裏書人を含む。)が当該権利を消滅させることを承諾したことを証する当該登記名義人が作成した情報又は当該登記名義人に対抗することができる裁判があったことを証する情報
二 前号の権利を目的とする第三者の権利に関する登記があるときは、当該第三者が承諾したことを証する当該第三者が作成した情報又は当該第三者に対抗することができる裁判があったことを証する情報
三 第一号の権利が抵当証券の発行されている抵当権であるときは、当該抵当証券
2 甲土地から乙土地を分筆する分筆の登記をする場合において、法第四十条の規定により乙土地について権利が消滅した旨の登記をするときは、分筆後の甲土地の登記記録の当該権利に関する登記についてする付記登記によって乙土地について当該権利が消滅した旨を記録しなければならない。この場合には、第百二条第一項の規定にかかわらず、当該消滅した権利に係る権利に関する登記を乙土地の登記記録に転写することを要しない。
3 甲土地から乙土地を分筆する分筆の登記をする場合において、法第四十条の規定により分筆後の甲土地について権利が消滅した旨の登記をするときは、分筆後の甲土地の登記記録の当該権利に関する登記についてする付記登記によって分筆後の甲土地について当該権利が消滅した旨を記録し、当該権利に関する登記を抹消する記号を記録しなければならない。
4 第二項の規定は、承役地についてする地役権の登記がある甲土地から乙土地を分筆する分筆の登記をする場合において、乙土地に地役権が存しないこととなるとき(法第四十条の場合を除く。)について準用する。
5 第三項の規定は、承役地についてする地役権の登記がある甲土地から乙土地を分筆する分筆の登記をする場合において、分筆後の甲土地に地役権が存しないこととなるとき(法第四十条の場合を除く。)について準用する。

6 登記官は、要役地についてする地役権の登記がある土地について分筆の登記をする場合において、当該分筆の登記の申請情報と併せて当該地役権を分筆後のいずれかの土地について消滅させることを証する地役権者が作成した情報が提供されたとき(当該土地を目的とする第三者の権利に関する登記がある場合にあっては、当該第三者が承諾したことを証する情報が併せて提供されたときに限る。)は、当該土地について当該地役権が消滅した旨を登記しなければならない。この場合においては、第一項第二号、第二項及び第三項の規定を準用する。

 

 

ウ 甲土地を要役地とする地役権設定登記がされている乙土地を分筆する場合において、分筆後の土地の一部について地役権が存続するときは、甲土地の登記記録に記録されている承役地である不動産に関する事項については、職権で変更の登記がされる。

 

正しい

 

登記官は、

承役地についてする地役権の登記がある甲土地から

乙土地を分筆する分筆の登記をする場合において、

地役権設定の範囲が分筆後の甲土地又は乙土地の一部となるときは、

分筆後の甲土地又は乙土地の登記記録の当該地役権に関する登記に

当該地役権設定の範囲及び地役権図面番号を記録しなければならない。

登記官は、この場合には、

要役地の登記記録の

第百五十九条第一項各号に掲げる事項(承役地に係る不動産所在事項等)に関する変更の登記をしなければならない。(規則103条1項・2項)

 

規則103条(地役権の登記がある土地の分筆の登記)

第百三条 登記官は、承役地についてする地役権の登記がある甲土地から乙土地を分筆する分筆の登記をする場合において、地役権設定の範囲が分筆後の甲土地又は乙土地の一部となるときは、分筆後の甲土地又は乙土地の登記記録の当該地役権に関する登記に当該地役権設定の範囲及び地役権図面番号を記録しなければならない。
2 登記官は、前項の場合には、要役地の登記記録の第百五十九条第一項各号に掲げる事項に関する変更の登記をしなければならない。
3 登記官は、第一項の場合において、要役地が他の登記所の管轄区域内にあるときは、遅滞なく、当該他の登記所に承役地の分筆の登記をした旨を通知しなければならない。
4 前項の通知を受けた登記所の登記官は、遅滞なく、第二項に規定する登記をしなければならない。

規則159条(地役権の登記)

第百五十九条 法第八十条第四項に規定する法務省令で定める事項は、次のとおりとする。
一 要役地の地役権の登記である旨
二 承役地に係る不動産所在事項及び当該土地が承役地である旨
三 地役権設定の目的及び範囲
四 登記の年月日
2 登記官は、地役権の設定の登記をした場合において、要役地が他の登記所の管轄区域内にあるときは、遅滞なく、当該他の登記所に承役地、要役地、地役権設定の目的及び範囲並びに地役権の設定の登記の申請の受付の年月日を通知しなければならない。
3 登記官は、地役権の登記事項に関する変更の登記若しくは更正の登記又は地役権の登記の抹消をしたときは、要役地の登記記録の第一項各号に掲げる事項についての変更の登記若しくは更正の登記又は要役地の地役権の登記の抹消をしなければならない。
4 第二項の規定は、地役権の登記事項に関する変更の登記若しくは更正の登記又は地役権の登記の抹消をした場合において、要役地が他の登記所の管轄区域内にあるときについて準用する。
5 第二項(前項において準用する場合を含む。)の通知を受けた登記所の登記官は、遅滞なく、要役地の登記記録の乙区に、通知を受けた事項を記録し、又は第三項の登記をしなければならない。 

 

 

エ 競売の申立てによる差押えの登記がされている甲土地から乙土地を分筆する場合には、分筆後の甲土地について競売申立権者が差押えの消滅を承諾したことを証する情報が提供されたときであっても、分筆後の甲土地について差押えの登記の抹消をすることはできない。

 

正しい

 

土地の分筆の登記を申請する場合は、

所有権の登記以外の権利に関する登記に係る権利を

分筆後のいずれかの土地について消滅させることを承諾したことを証する情報を提供することができるが、(法40条)

この消滅承諾により消滅したとすることができるのは、

所有権の登記以外の権利及びその仮登記に係る権利

並びに買戻権のほか、

法105条1号・2号を問わず

所有権に関する仮登記に係る権利をこれに含む(登記研究)

 

しかし、

この消滅承諾により消滅したとすることができる権利者には、

仮差押え、仮処分又は競売申立ての権利者は含まない。

これらの権利は、保全手続又は執行手続上のものであり、

権利者の意思のみでこれらの権利が消滅するものとして扱うことができない。(昭和41・11・8民甲3258号回答)

 

法40条(分筆に伴う権利の消滅の登記)

(分筆に伴う権利の消滅の登記)
第四十条 登記官は、所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地について分筆の登記をする場合において、

当該分筆の登記の申請情報と併せて当該権利に関する登記に係る権利の登記名義人(当該権利に関する登記が抵当権の登記である場合において、抵当証券が発行されているときは、当該抵当証券の所持人又は裏書人を含む。)が当該権利を分筆後のいずれかの土地について消滅させることを承諾したことを証する情報が提供されたとき(当該権利を目的とする第三者の権利に関する登記がある場合にあっては、当該第三者が承諾したことを証する情報が併せて提供されたときに限る。)は、

法務省令で定めるところにより、当該承諾に係る土地について当該権利が消滅した旨を登記しなければならない。

  

法105条(仮登記)

第百五条 仮登記は、次に掲げる場合にすることができる。

一 第三条各号に掲げる権利について保存等があった場合において、当該保存等に係る登記の申請をするために登記所に対し提供しなければならない情報であって、第二十五条第九号の申請情報と併せて提供しなければならないものとされているもののうち法務省令で定めるものを提供することができないとき。

二 第三条各号に掲げる権利の設定、移転、変更又は消滅に関して請求権(始期付き又は停止条件付きのものその他将来確定することが見込まれるものを含む。)を保全しようとするとき。

  

 

オ 抵当権の設定の登記がされている甲土地から乙土地を分筆する場合において、分筆後の甲土地及び乙土地の2筆の土地について抵当権者が抵当権の消滅を承諾したことを証する情報が提供されたときは、甲土地の登記記録には抵当権が消滅した旨の記録がされ、乙土地の登記記録には抵当権の設定の登記は転写されない。

 

誤り

 

分筆の登記をする場合において、

所有権の登記以外の権利に関する登記に係る権利の消滅承諾は、

分筆後のいずれかの土地についてすることができるが、

両方の土地についてはすることができない。(法40条)


よって、

抵当権の設定の登記がされている甲土地から

乙土地を分筆する場合において、

分筆後の甲土地及び乙土地の2筆の土地について

抵当権者が抵当権の消滅を承諾したことを証する情報を提供することはできない。

 

法40条(分筆に伴う権利の消滅の登記)

(分筆に伴う権利の消滅の登記)
第四十条 登記官は、所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地について分筆の登記をする場合において、

当該分筆の登記の申請情報と併せて当該権利に関する登記に係る権利の登記名義人(当該権利に関する登記が抵当権の登記である場合において、抵当証券が発行されているときは、当該抵当証券の所持人又は裏書人を含む。)が当該権利を分筆後のいずれかの土地について消滅させることを承諾したことを証する情報が提供されたとき(当該権利を目的とする第三者の権利に関する登記がある場合にあっては、当該第三者が承諾したことを証する情報が併せて提供されたときに限る。)は、

法務省令で定めるところにより、当該承諾に係る土地について当該権利が消滅した旨を登記しなければならない。

 

 

出典:「土地家屋調査士試験」(法務省)(http://www.moj.go.jp/shikaku_saiyo_index5.html)を加工して作成
出典:「測量士・測量士補国家試験及び登録」(国土地理院)(https://www.gsi.go.jp/LAW/SHIKEN/SHIKEN-top.htm)を加工して作成
出典: e-Gov法令検索 (https://elaws.e-gov.go.jp/)を加工して作成