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H18-1代理

Aは、Bから、B所有の甲土地を売却することについての代理権の授与を受け、Cとの間で、甲土地を1億円で売り渡す旨の売買契約(以下「本件契約」という。)を締結した。この場合に関する次の1から5までの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものはどれか。

 

1 Bの代理人として本件契約を締結したAが未成年者であった場合、Bは代理権を授与した時にAが未成年であったことを知らなかったときは、本件契約を取り消すことができる。

 

誤り

 

代理人は、行為能力者であることを要しない。

制限行為能力者代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。(民法102条本文)

 

民法102条(代理人の行為能力)

第百二条 制限行為能力者代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。ただし、制限行為能力者が他の制限行為能力者法定代理人としてした行為については、この限りでない。

 

 
2 AがBの代理人であることを示さずに、B本人であると名乗って本件契約を締結した場合、AをB本人であると過失なく信じたCは、本件契約を取り消すことができる。

 

誤り

 

代理人がその権限内において「本人のためにすることを示してした」意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる。(民法99条1項)

これを「顕名」というが、その趣旨は、相手方に法律効果の帰属主体を明らかにする点にあり、

代理人(=A)が本人(=B)の名を直接表示した場合でも、有効な顕名とされる。

よって、AがBの代理人であることを示さずに、B本人であると名乗って本件契約を締結したときでも、Cは本件契約を取り消すことができない。

 

民法99条(代理行為の要件及び効果)

第九十九条 代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる。
2 前項の規定は、第三者代理人に対してした意思表示について準用する。

 

 
3 Aが、Bから授与された代理権が消滅した後に、Bの代理人として本件契約を締結した場合、Bは、Cが代理権の消滅を過失なく知らなかったとしても、Cからの本件契約の履行請求を拒絶することができる。

 

誤り

 

代理権消滅後の表見代理が成立し、代理行為の効果が本人に帰属するためには、

相手方の善意・無過失が要件となる(民法112条1項)。

よって、本人であるBは、第三者であるCからの本件契約の履行請求を拒絶することができない。

 

民法112条(代理権消滅後の表見代理等)

第百十二条 他人に代理権を与えた者は、代理権の消滅後にその代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、代理権の消滅の事実を知らなかった第三者に対してその責任を負う。ただし、第三者が過失によってその事実を知らなかったときは、この限りでない。
2 他人に代理権を与えた者は、代理権の消滅後に、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間で行為をしたとすれば前項の規定によりその責任を負うべき場合において、その他人が第三者との間でその代理権の範囲外の行為をしたときは、第三者がその行為についてその他人の代理権があると信ずべき正当な理由があるときに限り、その行為についての責任を負う。

 

 
4 Aが甲土地の代金を着服する意図を持ってBの代理人として本件契約を締結し、その代金を自ら消費した場合、Bは、CがAの意図を本件契約締結時に過失なく知らなかったとしても、Cに対し、本件契約の無効を主張することができる。

 

誤り

 

代理人がその権限内において「本人のためにすることを示してした」意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる。(民法99条1項)

これを「顕名」というが、その趣旨は、相手方に法律効果の帰属主体を明らかにする点にあり、

代理人(=A)が自己または第三者の利益を図るという目的で、客観的には顕名により、代理権の範囲内の行為をすることを、代理人の権限濫用という。

この場合、代理行為の効果は本人(=B)に帰属し、代理人(=A)が自己又は第三者の利益を図る目的について、相手方(=C)が悪意又は有過失であれば、無権代理行為とされる。(民法107条)

よって、Bは、CがAの意図を本件契約締結時に過失なく知らなかった場合、Cに対し、本件契約の無効を主張できない。

 

民法99条(代理行為の要件及び効果)

第九十九条 代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる。
2 前項の規定は、第三者代理人に対してした意思表示について準用する。

 

民法107条(代理権の濫用)

第百七条 代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。

  

 

5 Cが、Bから虚偽の事実を告げられたために、実際には3,000万円足らずの甲土地の地価を1億円は下らないと誤信して本件契約を締結した場合、Cは、Bの代理人として本件契約を締結したAがBの欺網行為を過失なく知らなかったとしても、本件契約を取り消すことができる。

 

誤り

 

本人(=B)が相手方(=C)に対して詐欺をし、その結果として相手方が代理人(=A)に対して法律行為をした場合、

代理人保護の必要性がなく、第三者による詐欺(民法96条2項)には当たらない。

よって、相手方(=C)は詐欺を理由として契約を取り消せる。

 

民法96条(詐欺又は強迫)

第九十六条 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
2 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知り、又は知ることができたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
3 前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。

  

 

出典:「土地家屋調査士試験」(法務省)(http://www.moj.go.jp/shikaku_saiyo_index5.html)を加工して作成
出典:「測量士・測量士補国家試験及び登録」(国土地理院)(https://www.gsi.go.jp/LAW/SHIKEN/SHIKEN-top.htm)を加工して作成
出典: e-Gov法令検索 (https://elaws.e-gov.go.jp/)を加工して作成