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R2-21土地書式

土地家屋調査士法務太郎は,山川小太郎及び香川浪子から,次の〔調査図素図〕に示すA市B町一丁目 32 番 4 の土地(以下「本件土地 1 」という。)及び同 32 番 5 の土地(以下 「本件土地 2 」といい,本件土地 1 と本件土地 2 を合わせて「本件土地」という。)の表示に関する登記についての相談を受け,【土地家屋調査士法務太郎の聴取記録の概要】のとおり事情を聴取し,本件土地について,必要となる表示に関する登記の申請手続についての代理並びに当該登記に必要な調査及び測量の依頼を受け,【土地家屋調査士法務太郎による調査及び測量の結果の概要】のとおり必要な調査及び測量を行った。
以上に基づき,次の問 1 から問 4 までに答えなさい。f:id:tochikaokuchosashi:20210126151220p:plain

 

①前文、調査図素図:「申請人」、「対象土地」、「申請する登記」を読み取る。

・申請人:山川小太郎及び香川浪子
・対象土地:32番4「本件土地1」+ 32番5「本件土地2」=「本件土地」
・申請する登記:不明

調査図素図(注)より、
32番4「本件土地1」と32番5「本件土地2」との筆界は不明。(点線H-Gは筆界なのか不明)

 


 

問1 【土地家屋調査士法務太郎の聴取記録の概要】及び【土地家屋調査士法務太郎によ る調査及び測量の結果の概要】から,〔調査図素図〕上のB点,G点及びH点のそれぞれの座標値を求め,別紙第 21 問答案用紙の第 1 欄に記載しなさい。

 

③ 問:先に問を読み、「○:重要事項」を知る。この時点で「×:理解できない部分」は読み飛ばす。

 

・問1:○:B, G及びHの座標値を求める。 →答案構成用紙に点名を書く。

 

 

問 2  別紙第 21 問答案用紙の第 2 欄の登記申請書の空欄を埋めて,依頼を受けた本件土地の登記の申請書を完成させなさい。ただし,必要な土地の表示に関する登記が複数ある場合は,一の申請情報により申請するものとする。また,地積は,測量の結果である座標値を用いて座標法により求積するものとし,その求積値と登記記録の地積の差が公差の範囲内であるときは,地積に関する表示の登記の申請は行わないこととする。なお,申請書の文字については,不動産登記規則 45 条の定めにのっとるものとする。ただし,文字の訂正,加入又は削除をしたときは,その旨及びその字数や押印を記載することを要しない。

 

・問2:本件土地の登記申請書:×

  

 

問 3  次の文は,登記識別情報に関する説明である。( ア )から( オ )までに入る文言を別紙第 21 問答案用紙の第 3 欄の該当欄に記載しなさい。
登記識別情報は,アラビア数字その他の符号の組合せにより,( ア )及び ( イ )となった申請人ごとに定められる。登記の申請を電子申請の方法でした場合における登記識別情報の通知は,登記官の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された登記識別情報を電子情報処理組織を使用して送信し,申請人又はその代理人の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法のほか,その申出により( ウ )の交付を受ける方法によることができる。表示に関する登記のうち,所有権の登記がある土地の( エ )の登記,所有権の登記がある建物の合体による登記等及び所有権の登記がある建物の( オ )の登記の申請をする場合には,( イ )は,申請情報と併せて ( イ )の登記識別情報を提供しなければならない。

 

・問3:登記識別情報に関する説明:○別紙を読まずに解答可。

登記識別情報は,アラビア数字その他の符号の組合せにより,不動産及び登記名義人となった申請入ごとに定められる。→(ア)「不動産」, (イ)「登記名義人」

登記の申請を電子申請の方法でした場合における登記識別情報の通知は,原則として電磁的記録に記録されたものが通知されるが,申出によって書面である登記識別情報通知書の交付を受ける方法によることができる。→(ウ)「書面」又は「登記識別情報通知書」

表示に関する登記のうち,登記識別情報を提供しなければならないものは,所有権の登記がある土地の合筆登記,所有権の登記がある建物の合体による登記等及び合併登記である。→(エ)「合筆」, (オ)「合併」

  

 

問 4  別紙第 21 問答案用紙の第 4 欄を用いて,問 2 の登記の申請書に添付する地積測量図を完成させなさい。なお,地積測量図の文字については,不動産登記規則 45 条の定めにのっとるものとする。ただし,文字の訂正,加入又は削除をしたとき は,その旨及びその字数や押印を記載することを要しない。

 

・問4:問2の登記申請書に添付する地積測量図:×

  

 

 

(注)
1  本問における行為は全て適法に行われており,法律上必要な書類は全て適法 に作成されているものとする。
2  登記の申請は,書面申請の方法によってするものとする。
3  座標値は,計算結果の小数点以下第 3 位を四捨五入し,小数点以下第 2 位までとすること。
4  地積測量図は,250 分の 1 の縮尺により作成すること。また,地積測量図には,測量の結果を用いて求めた筆界点間の距離を,計算結果の小数点以下第 3 位を四捨五入し,小数点以下第 2 位まで記載すること。
5  地積測量図には,各筆界点の座標値,平面直角座標系の番号又は記号,地積及びその求積方法並びに測量年月日は,記載することを要しない。
6  A市基準点の各点は,地積測量図にその地点を明示して点名を付して記載すること。ただし,座標値を記載することを要しない。
7  訂正,加筆又は削除をしたときは,訂正は訂正する字句に線を引き,近接箇所に訂正後の字句を記載し,加入は加入する部分を明示して行い,削除は削除する字句に線を引いて,訂正,加入又は削除したことが明確に分かるように記載すること。

 

②注意事項:「×例年同様な事項」、「○例外的な事項」をチェック。

 

・注5:地積測量図の記載事項:○地積測量図に不動産登記規則 77 条等による事項を記録する。

1 地番区域の名称
2 方位
3 縮尺
4 地番(隣接地の地番を含む。)
5 筆界点の座標値と地積及びその求積方法 
6 筆界点間の距離(単位の表示も含む。)
7 平面直角座標系の番号又は記号
8 筆界点の名称及び種類
9 基本三角点等の名称及び座標値
10 測量の年月日
11 申請人の記名
12 作成者の署名又は記名押印(調査士が作成者の場合は職名と職印)
13 分筆後の土地の符号
14 作成年月日

本問では、5 筆界点の座標値と地積及びその求積方法、7 平面直角座標系の番号又は記号、10 測量の年月日は、記載を要しない。
8 筆界点の名称及び種類、6 筆界点間の距離の単位の表示は、記載する。

・注6:基準点の記載:○本問では、9 基本三角点等の名称及び座標値は不要であるが、地積測量図中にF市基準点をプロットし、名称を付す。

 

 

 

土地家屋調査士法務太郎の聴取記録の概要】

 

1  A市B町一丁目 32 番地 4 に住所を有する山川小太郎は,本件土地 1 及び本件土地 2 にまたがって所在する家屋番号 32 番 4 の建物(以下「本件建物 1 」という。)に居住している。

2  A市B町一丁目 32 番地 5 に住所を有する香川浪子は,本件土地 2 に所在する家屋番号 32 番 5 の建物(以下「本件建物 2 」という。)に居住している。

3  本件土地 2 に所在する家屋番号 32 番 5 の 2 の建物(以下「本件建物 3 」という。)は共同住宅として利用されている。 

4  山川一郎は,本件建物 3 に居住していた。

 

④別紙:③問に答える「○:重要事項」を読み取る。

 別紙1:【土地家屋調査士法務太郎の聴取記録の概要】

1・2・3・4:山川小太郎、香川浪子及び山川一郎の居住建物(本件建物1~3)と、その所在。 

 

5  山川一郎は令和 2 年 1 月 1 日に,山川一郎の妻は平成 30 年 12 月 25 日に死亡した。山川小太郎及び香川浪子は山川一郎の子である。

 

5:山川一郎、山川一郎の妻が死亡。→山川一郎の子である山川小太郎及び香川浪子が相続人。

 

6  本件土地 1 及び本件土地 2 には三個の建物が存しているが,山川小太郎及び香川浪子は, 今後の相続のために,本件土地 1 及び本件土地 2 の登記記録を,本件建物 1 が存する区画 (〔調査図素図〕のB,C,D,E,G,H及びBの各点を順次直線で結んだ部分。以下「甲区画」という。)と本件建物 2 及び本件建物 3 が存する区画(〔調査図素図〕のA,H,G,F及び Aの各点を順次直線で結んだ部分。以下「乙区画」という。)に一致させることを希望している。

7  本件建物 1 は,本件土地 1 と本件土地 2 にまたがって所在しており,甲区画と乙区画との間にはブロック塀等,境界となる工作物はない。

 

6・7:本件土地の登記記録(筆界)を、各建物の存する区画=甲区画・乙区画に一致させる。
→形成的登記で区画変更=「分筆登記」or「合筆登記」or「分合筆登記」を申請。

 

8  山川小太郎及び香川浪子は,B点とE点を直線で結んだ線とG点とH点を直線で結んだ線が平行になり,かつ,〔調査及び測量によって得られた座標値〕による甲区画の面積が 156.53 m2 となるようにG点とH点を設定することを希望している。

 

8:区画構成条件:B-EとG-Hが平行、かつ、座標値による甲区画の面積が156.53 ㎡となるG-Hを設定。

 

9  本件建物 1 の敷地には,アスファルトで舗装された駐車場があり,山川小太郎の所有する自家用車が数台駐車されている。

 

9:本件建物1敷地に、アスファルト舗装自家用車駐車場があり、建物と一体利用
→駐車場部分の地目は「宅地」。

   

 

10 山川小太郎及び香川浪子は,申請件数が最も少なく,かつ,登録免許税の額が最も低額となるように登記を申請することを希望している。

 

10:申請件数が最も少なく,かつ,登録免許税の額が最も低額となる登記
→「分合筆登記」。

   

 

11 山川小太郎及び香川浪子は,本件土地 1 及び本件土地 2 の登記識別情報を保有していないが,両土地の登記済証を所持している。

 

11
本件土地 1 及び本件土地 2の登記識別情報ではなく,「登記済証」を所持。→解答用紙の添付書類に「登記済証」と記入。

   

   

土地家屋調査士法務太郎による調査及び測量の結果の概要】 

 

1 資料に関する調査の結果

 

⑴ 本件土地に関する登記記録の調査結果(現在事項)

ア 本件土地1
(表題部)
所 在 A市B町一丁目 地 番 32番4 地目 宅地
地 積 123.00 m
(権利部)
甲区 A市B町一丁目32番地5 山川一郎
乙区 (登記事項なし)

イ 本件土地2
(表題部)
所 在 A市B町一丁目 地 番 32番5 地目 宅地
地 積 140.80 m (権利部)
甲区 A市B町一丁目32番地5 山川一郎
乙区 (登記事項なし)

ウ 本件建物1
(表題部)
所 在 A市B町一丁目32番地4,32番地5 家屋番号32番4
種 類 居宅 構 造 鉄骨造陸屋根2階建 床面積 (省略)
(権利部)
甲区 A市B町一丁目32番地4 山川小太郎
乙区 (登記事項なし)

エ 本件建物2
(表題部)
所在 A市B町一丁目32番地5 家屋番号 32番5
種 類 居宅 構 造 木造スレートぶき3階建 床面積 (省略)
(権利部)
甲区 A市B町一丁目32番地5 香川浪子
乙区1番 抵当権設定 平成25年8月1日受付第 1234 号
原因 平成25年8月1日金銭消費貸借同日設定
債権額 金800万円 利息 年3,60% 損害金 年18.00%(年 365 日の日割計算) 債務者 A市B町一丁目32番地5 香川浪子 抵当権者 A市C町三丁目1番1号 法務信用金庫

オ本件建物3
(表題部)
所 在 A市B町一丁目32番地5 家屋番号32番5の2
種 類 共同住宅 構 造 木造かわらぶき2階建 床面積 (省略)
(権利部)
甲区 A市B町一丁目32番地5 山川一郎
乙区 (登記事項なし) 

 

④別紙:③問に答える「○:重要事項」を読み取る。

 

別紙2:【土地家屋調査士法務太郎による調査及び測量の結果の概要】 

 

⑴ 本件土地に関する登記記録の調査結果(現在事項)

 本件土地1及び本件土地2の地目及び所有権の登記名義人が同一。他に権利に関する登記なし。

→「分合筆登記」を申請可。(③問で、建物について問われず→本件建物1~3は読み飛ばす。)

 

⑵ 地図等に関する調査結果
本件土地の地域には,不動産登記法 14 条 1 項の地図は備え付けられておらず,地図に準ずる図面が備え付けられている。
また,本件土地の地域は,不動産登記規則10条2項1号の市街地地域に属する。 

  

本件土地は、市街地地域。

→精度区分は「甲2」→(5)本件土地の地積測定の公差の「甲2」に印をつける。

 

 

 (3) 本件土地の隣接地に係る図面等の調査結果
本件土地及びこれらの土地の隣接地であるA市B町一丁目 32 番 1 及び同 32 番 13 の各 土地については,いずれも地積測量図が備え付けられている。また,本件建物 1 ,本件建 物 2 及び本件建物 3 については,建物図面が備え付けられている。 

  

⑷ A市道路管理課における道路境界の調査の結果
市道路管理課において,道路境界の調査を行った結果,本件土地については道路境界の確認がされていた。

 

⑸ 本件土地の地積測定の公差

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(6) 山川一郎の相続関係調査の結果
山川一郎は令和2年1月1日に,山川一郎の妻は平成30年12月25日に死亡した。山川一郎の子は山川小太郎及び香川浪子のみであり,他に山川一郎の相続人はいない。

  

→山川一郎の相続人である山川小太郎及び香川浪子から登記申請。

 

 

 

2  資料に関する調査の結果

 

⑴ 本件土地の利用状況
本件土地の利用状況は【土地家屋調査士法務太郎の聴取記録の概要】のとおりである。

 

⑵ 境界標の状況に関する調査
〔調査図素図〕のA点,C点,D点及びF点にはコンクリート杭が設置されており,E点 には金属標が設置されている。

  

境界標の種類→問4:地積測量図に記載。

  

 

⑶ 立会い等
ア 土地家屋調査士法務太郎による検証の結果,現地の境界標と登記所備付資料の地積測量図,A市基準点及び道路境界確認図の成果は整合していること並びに本件土地 1 と本件土地 2 との筆界はB点とE点を結ぶ直線であることが確認された。
イ B点は,〔A市道路境界確認図に記載されている座標値(任意座標)〕を基に,測量によって得られた座標値への変換計算をし,金属標を設置しA市道路管理課職員及び隣接 土地所有者から,道路及び隣接する境界について,それぞれ確認が得られた。
ウ 分割点である〔調査図素図〕のG点及びH点には,コンクリート杭を設置した。

  

・ア、イ:32 番 4 の土地(「本件土地 1 」)と、32 番 5 の土地(「本件土地 2 」の筆界は、B点(金属標)とE点(金属標)を結ぶ直線。
・イ:⑷測量の結果より、A市道路境界確認図に記載されている座標値(任意座標)を基に、座標変換計算(B´→B)することで、測量によって得られた座標値(座標系)におけるB点の座標値を求める。
・ウ: G点(コン杭)とH点(コン杭)で分割。

  

⑷ 測量の結果
A市基準点である〔調査図素図〕のA市基準点 1 及びA市基準点 2 並びに関連する基準点 の点検測量を行った結果,許容誤差内にあることを確認した。そこで,〔A市基準点成果表〕の値をもって,筆界点の観測を行い,次のとおり筆界点の座標値を得た。

ア 〔A市基準点成果表〕f:id:tochikaokuchosashi:20210126153056p:plainイ 〔調査及び測量によって得られた座標値〕f:id:tochikaokuchosashi:20210126153145p:plain
ウ 〔A市道路境界確認図に記載されている座標値(任意座標)〕f:id:tochikaokuchosashi:20210126153233p:plain
(注) 点A’は点A,点B’は点B,点C’は点Cとそれぞれ同一の点である。



→⑶立会い等・イにより、ウ 〔A市道路境界確認図に記載されている座標値(任意座標)〕を基に、座標変換計算(B´→B)することで、イ 〔調査及び測量によって得られた座標値(座標系)〕におけるB点の座標値を求める。

 

答案用紙

   

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解説

 

1.問題把握

 

手順①~④により問題把握が完了。
①前文、調査図素図:「申請人」「対象土地」「申請する登記」を読み取る。
②注意事項:「×例年同様な事項」、「○例外的な事項」をチェック。
③問:先に問を読み、 「○:重要事項」を知る。この時点で「×:理解できない部分」は読み飛ばす。
④別紙:③問に答える「○:重要事項」を読み取る。

 

・申請人:山川小太郎及び香川浪子
・32番4「本件土地1」+ 32番5「本件土地2」=「本件土地」の登記記録を、甲区画・乙区画に変更
・本件土地 1 (32番4)と本件土地 2(32番5) との筆界は、直線B-E。
→BEGH区画を本件土地 2(32番5)から分割して、本件土地 1 (32番4)に合併する「分合筆登記」を申請
・地積更生については、分筆する本件土地 2(32番5)を作図・求積後、公差「甲2」で判定

  

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出典:「土地家屋調査士試験」(法務省)(http://www.moj.go.jp/shikaku_saiyo_index5.html)を加工して作成
出典:「測量士・測量士補国家試験及び登録」(国土地理院)(https://www.gsi.go.jp/LAW/SHIKEN/SHIKEN-top.htm)を加工して作成
出典: e-Gov法令検索 (https://elaws.e-gov.go.jp/)を加工して作成