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H28-9土地分筆登記

土地の分筆の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。

1 アイ   2 アエ   3 イウ   4 ウオ   5 エオ

ア 土地の分筆の登記をし、分筆後の一筆の土地につき所有権の移転の登記をした後、当該分筆の登記の申請の際に添付情報として提供した地積測量図の分筆線に誤りがあることが発見された場合には、地図の訂正の申出により地図の分筆線を訂正することができる。

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分筆線の抹消や訂正をするには、分筆錯誤を申請する。

地図訂正の申出や地積測量図の訂正の申出で分筆線を修正することはできない(昭43.6.8民甲1653号)。 

 

法16条1項

(地図等の訂正)
第十六条 地図に表示された土地の区画又は地番に誤りがあるときは、当該土地の表題部所有者若しくは所有権の登記名義人又はこれらの相続人その他の一般承継人は、その訂正の申出をすることができる。

地図に準ずる図面に表示された土地の位置、形状又は地番に誤りがあるときも、同様とする。 

昭43.6.8民甲1653号

地図の訂正の申出は、地図に表示された土地の区画又は地番に誤りがあるときに、その訂正の申し出るものである。

分筆登記の際の分筆部分が誤りであることが発見された場合、地図訂正の申出に基づいて地図を訂正することはできない。

 

 

イ A及びBが所有権の登記名義人である土地に共有物分割禁止の定めの登記がある場合であっても、A及びBは、当該土地の分筆の登記を申請することができる。

土地の共有者は、5年を超えない期間内は分割をしない旨の契約=共有物分割禁止の定め(民256条1項)をすることができ、所有権に関する登記の登記事項となる。(法59条6号)

ここで禁止される分割とは、分割後の物を単独所有するための行為であり、持分の一部移転を含むが、

この点で、土地の分筆は、分筆後の土地の共有関係について変更を生じない行為なので、当該禁止される分割ではない。

つまり、遺産分割を禁止する旨の遺言があった場合,または遺産分割による共有物不分割の特約がある旨が登記されている場合であっても、分筆登記の申請をすることができる。(その後、所有権移転の登記はすることができない。)

 

 

民256条1項

(共有物の分割請求)
第二百五十六条 各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。

ただし、五年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。 

法59条6号

(権利に関する登記の登記事項)
第五十九条 権利に関する登記の登記事項は、次のとおりとする。
六 共有物分割禁止の定め共有物若しくは所有権以外の財産権について民法(明治二十九年法律第八十九号)第二百五十六条第一項ただし書同法第二百六十四条において準用する場合を含む。)の規定により分割をしない旨の契約をした場合若しくは同法第九百八条の規定により被相続人が遺言で共有物若しくは所有権以外の財産権について分割を禁止した場合における共有物若しくは所有権以外の財産権の分割を禁止する定め又は同法第九百七条第三項の規定により家庭裁判所が遺産である共有物若しくは所有権以外の財産権についてした分割を禁止する審判をいう。第六十五条において同じ。)があるときは、その定め

 

ウ A及びBが所有権の登記名義人である土地の分筆の登記を書面により申請する場合において、その申請書が2枚以上であるときは、A又はBのいずれかが、各用紙のつづり目に契印すれば足りる。

書面申請の場合,申請人またはその代表者もしくは代理人は,申請書が2枚以上であるときは,各用紙のつづり目に契印をしなければならない(規則46条1項)。

申請入またはその代表者もしくは代理人が2名以上いる場合は,そのうちの1人が契印をすれば足りる(規則46条2項)。

 

規則46条1項

(契印等)
第四十六条 申請人又はその代表者若しくは代理人は、申請書が二枚以上であるときは、各用紙のつづり目に契印をしなければならない。 

2 前項の契印は、申請人又はその代表者若しくは代理人が二人以上ある場合は、その一人がすれば足りる。ただし、登記権利者及び登記義務者が共同して登記の申請をするときは、登記権利者又はその代表者若しくはその代理人及び登記義務者又はその代表者若しくはその代理人の各一人がしなければならない。

 

エ 市街地地域内の土地の分筆の登記を申請する場合において、その土地を管轄する登記所に備え付けられている地図が乙1の精度区分で作成されており、かつ、当該土地の分筆前の地積と分筆後の地積の差が分筆前の地積を基準にして乙1の精度区分の限度内であるときは、地積に関する更正の登記の申請を要しない。

×

分筆の登記を申請する場合において,分筆前の地積と分筆後の地積の差が,分筆前の地積を基準にして規則第77条第5項の規定による地積測量図の誤差の限度内であるときは,地積に関する更正の登記の申請を要しない。 (準則72条1項)

この地積測量図の誤差の限度は、地図の誤差の限度と同一であり,

市街地地域およびその周辺の地域については国土調査法施行令別表第4に掲げる精度区分甲2まで,

村落・農耕地域山林およびその周辺の地域については,精度区分乙1 まで,

原野地域およびその周辺の地域については,精度区分乙3までとする(規則77条4項、規則10条4項)。

 

 

 

法25条

(申請の却下)
第二十五条 登記官は、次に掲げる場合には、理由を付した決定で、登記の申請を却下しなければならない。ただし、当該申請の不備が補正することができるものである場合において、登記官が定めた相当の期間内に、申請人がこれを補正したときは、この限りでない。
六 申請情報の内容である不動産又は登記の目的である権利が登記記録と合致しないとき。 

準則72条

(分筆の登記の申請)

第72条
分筆の登記を申請する場合において,分筆前の地積と分筆後の地積の差が,分筆前の地積を基準にして規則第77条第5項の規定による地積測量図の誤差の限度内であるときは,地積に関する更正の登記の申請を要しない。 

規則77条

(地積測量図の内容)
第七十七条 地積測量図には、次に掲げる事項を記録しなければならない。
5 第十条第四項の規定は、地積測量図について準用する。

 

オ 区分建物である建物の登記記録の表題部に敷地権の種類として賃借権が記録されている土地の分筆の登記は、当該区分建物において管理組合の理事長が管理者として定められているときは、当該理事長が単独で申請することができる。

×

賃借権が敷地権である旨の登記がされた土地の所有権登記名義人は、賃借権設定者(賃貸人)である。

この土地の分筆の登記の申請は、その敷地権の表示をした区分建物の表題部所有者又は所有権の登記名義人ではなく、当該土地の所有権登記名義人=賃借権設定者(賃貸人)がしなければならないため、管理組合の理事長からは申請することができない。

また、管理者の権限は「共用部分等」に関する保存行為に限られているため、管理組合の理事長が処分行為である分筆の登記を、単独で申請することはできない。

つまり、区分建物において管理者が定められている場合(区分法25 条~29条)でも、管理者は、区分建物の所有者等を代表して登記を申請することはできない。

 

法39条1項

(分筆又は合筆の登記)
第三十九条 分筆又は合筆の登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない。 

区分法25条1項

(選任及び解任)
第二十五条 区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によつて、管理者を選任し、又は解任することができる。 

区分法26条1項

(権限)
第二十六条 管理者は、共用部分並びに第二十一条に規定する場合における当該建物の敷地及び附属施設(次項及び第四十七条第六項において「共用部分等」という。)を保存し、集会の決議を実行し、並びに規約で定めた行為をする権利を有し、義務を負う。

  

 

 

出典:「土地家屋調査士試験」(法務省)(http://www.moj.go.jp/shikaku_saiyo_index5.html)を加工して作成
出典:「測量士・測量士補国家試験及び登録」(国土地理院)(https://www.gsi.go.jp/LAW/SHIKEN/SHIKEN-top.htm)を加工して作成
出典: e-Gov法令検索 (https://elaws.e-gov.go.jp/)を加工して作成