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H28-13建物分割登記

甲建物からその附属建物を分割して乙建物とする建物の分割の登記(以下「本件分割登記」とういう。)に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。

 1 アイ   2 アエ   3 イウ   4 ウオ   5 エオ

ア 甲建物に抵当権の登記がある場合において、本件分割登記の申請情報と併せて、当該抵当権の登記名義人が当該抵当権を分割後の乙建物について消滅させることを承認したことを証する情報が提供されたときは、当該抵当権の登記は分割後の甲建物のみに存続することになる。

所有権以外の権利に関する登記(所有権移転仮登記,買戻権,抵当権, 根抵当権,地上権,先取特権,地役権,永小作権,賃借権など)のある建物を分割する場合,

権利者が分割後の1個を除いた他の建物につき,当該所有権以外の権利に関する登記の消滅を証する書面(消滅承諾書)が提供されたときは、

分割後の1個のみに所有権以外の権利に関する登記を存続させ、他の建物の所有権以外の権利に関する登記を消滅させることができる(法54条3項、法40条)。

 

法54条3項

(建物の分割、区分又は合併の登記)
3 第四十条の規定は、所有権等の登記以外の権利に関する登記がある建物についての建物の分割の登記又は建物の区分の登記をするときについて準用する。

法40条 

(分筆に伴う権利の消滅の登記)
第四十条 登記官は、所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地について分筆の登記をする場合において、当該分筆の登記の申請情報と併せて当該権利に関する登記に係る権利の登記名義人(当該権利に関する登記が抵当権の登記である場合において、抵当証券が発行されているときは、当該抵当証券の所持人又は裏書人を含む。)が当該権利を分筆後のいずれかの土地について消滅させることを承諾したことを証する情報が提供されたとき(当該権利を目的とする第三者の権利に関する登記がある場合にあっては、当該第三者が承諾したことを証する情報が併せて提供されたときに限る。)は、法務省令で定めるところにより、当該承諾に係る土地について当該権利が消滅した旨を登記しなければならない。 

規則128条1項

(建物の分割の登記における権利部の記録方法)
第百二十八条 第百二条及び第百四条第一項から第三項までの規定は、前条第一項の規定により甲建物からその附属建物を分割して乙建物とする建物の分割の登記をする場合について準用する。 

規則104条2項

(分筆に伴う権利の消滅の登記)
第百四条 法第四十条の規定による権利が消滅した旨の登記は、分筆の登記の申請情報と併せて次に掲げる情報が提供された場合にするものとする。
一 当該権利の登記名義人(当該権利が抵当権である場合において、抵当証券が発行されているときは、当該抵当証券の所持人又は裏書人を含む。)が当該権利を消滅させることを承諾したことを証する当該登記名義人が作成した情報又は当該登記名義人に対抗することができる裁判があったことを証する情報
二 前号の権利を目的とする第三者の権利に関する登記があるときは、当該第三者が承諾したことを証する当該第三者が作成した情報又は当該第三者に対抗することができる裁判があったことを証する情報 

 

イ 本件分割登記を申請する場合において、甲建物に共用部分である旨の登記があるときは、建物の所有権を証する情報の添付を要しない。

×

本肢のように共用部分または団地共用部分である建物の所有者から、

建物の分割の登記又は建物の区分の登記を申請する場合は,

その所有権を証する情報を添付情報として提供しなければならない(令別表16項・添付情報欄口)。

 

令別表16項

十六
建物の分割の登記、建物の区分の登記又は建物の合併の登記
申請情報
 
イ 分割後、区分後又は合併後の建物についての第三条第八号(ロを除く。)に掲げる事項
ロ 分割前、区分前若しくは合併前の建物又は当該分割後、区分後若しくは合併後の建物について敷地権が存するときは、当該敷地権についての次に掲げる事項
(1) 敷地権の目的となる土地の所在する市、区、郡、町、村及び字並びに当該土地の地番、地目及び地積
(2) 敷地権の種類及び割合
(3) 敷地権の登記原因及びその日付
添付情報
 
イ 当該分割後、区分後又は合併後の建物図面及び各階平面図
ロ 共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物について建物の分割の登記又は建物の区分の登記を申請するときは、当該建物の所有者を証する情報
ハ 建物の区分の登記を申請する場合において、区分後の建物について敷地権が存するときは、次に掲げる情報(区分建物である建物について建物の区分の登記を申請するときは、(1)及び(3)を除く。)
(1) 敷地権の目的である土地が区分所有法第五条第一項の規定により建物の敷地となった土地であるときは、同項の規約を設定したことを証する情報
(2) 敷地権が区分所有法第二十二条第二項ただし書の規約で定められている割合によるものであるときは、当該規約を設定したことを証する情報
(3) 敷地権の目的である土地が他の登記所の管轄区域内にあるときは、当該土地の登記事項証明書

 

準則87条2項 

(所有権を証する情報等)

共用部分又は団地共用部分である建物についての建物の所有者を証する情報は,共用部分若しくは団地共用部分である旨を定めた規約を設定したことを証する情報又は登記した他の区分所有者若しくは建物の所有者の全部若しくは一部の者が証明する情報とする。

 

ウ 甲建物の附属建物の所有権を取得した者は、甲建物の所有権の登記名義人に代位して、本件分割登記を申請することはできない。

×

建物分割登記は、土地分筆登記と同様、所有者の意思に基づき新しい登記記録を作成する形成的登記となる。

ただし,附属建物のみを売買により取得した者は,

売主(建物所有者)がその所有権移転登記をする前提としての建物の分割の登記を申請しない場合には, 所有権移転登記請求権を保全するため,

債権者代位により当該建物の分割の登記を申請することができる(民法423条)。

 

よって、甲建物の附属建物の所有権を取得した者は、甲建物の所有権の登記名義人に代位して、本件分割登記を申請することができる。 

 

 

法54条1項1号

(建物の分割、区分又は合併の登記)
第五十四条 次に掲げる登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない。
一 建物の分割の登記(表題登記がある建物の附属建物を当該表題登記がある建物の登記記録から分割して登記記録上別の一個の建物とする登記をいう。以下同じ。) 

民法423条1項

債権者代位権の要件)
第四百二十三条 債権者は、自己の債権を保全するため必要があるときは、債務者に属する権利(以下「被代位権利」という。)を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利及び差押えを禁じられた権利は、この限りでない。 

 

エ 本件分割登記に係る分割により不動産所在事項に変更が生じたときは、変更後の不動産所在事項、分割により変更した旨及び変更前の不動産所在事項を抹消する記号が記録される。

建物分割登記を申請することにより,分割前の建物の所在に変更が生じたときは、

変更前の所在の記録が抹消され、変更後の所在と, 分割により変更した旨が記録される(規則127条3項)。

 

規則127条1項、3項

(建物の分割の登記における表題部の記録方法)
第百二十七条 登記官は、甲建物からその附属建物を分割して乙建物とする建物の分割の登記をするときは、乙建物について新たに登記記録を作成し、当該登記記録の表題部に家屋番号何番の建物から分割した旨を記録しなければならない。 

3 登記官は、第一項の場合において、分割により不動産所在事項に変更が生じたときは、変更後の不動産所在事項、分割により変更した旨及び変更前の不動産所在事項を抹消する記号を記録しなければならない。

 

オ 分割前の甲建物について現に効力を有する所有権の登記がされた後、当該分割前に係る附属建物の新築による当該分割前の甲建物の表題部の登記事項に関する変更の登記がされていたときは、乙建物の登記記録に当該所有権の登記が転写される。

×

甲建物に対して所有権の登記がされた後に新築された乙建物を分割する場合,

(登記された所有権は甲建物に対するものなので分割後の乙建物の登記記録には転写されず,)

分割後の乙建物の登記記録には「分割による所有権の登記」をする旨が記録される(規則128条2項)。

 

平成21.2.20民二500号第2・4・2

乙建物の登記記録に「分割による所有権の登記」をする旨の記録は、具体的には、

登記の目的欄には「所有権保存」、

権利者その他の事項欄には「所有者 甲市乙町一丁目3番地 甲某 平成何年何月何日分割により登記」のように記録される。

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規則128条1項、2項

(建物の分割の登記における権利部の記録方法)
第百二十八条 第百二条及び第百四条第一項から第三項までの規定は、前条第一項の規定により甲建物からその附属建物を分割して乙建物とする建物の分割の登記をする場合について準用する。

2 登記官は、分割前の建物について現に効力を有する所有権の登記がされた後当該分割に係る附属建物の新築による当該分割前の建物の表題部の登記事項に関する変更の登記がされていたときは、前項において準用する第百二条の規定により当該所有権の登記を転写することに代えて、乙建物の登記記録の甲区に次に掲げる事項を記録しなければならない。

一 分割による所有権の登記をする旨
二 所有権の登記名義人の氏名又は名称及び住所並びに登記名義人が二人以上であるときは当該所有権の登記名義人ごとの持分
三 登記の年月日

規則102条1項

(分筆の登記における権利部の記録方法)
第百二条 登記官は、前条の場合において、乙土地の登記記録の権利部の相当区に、甲土地の登記記録から権利に関する登記(地役権の登記にあっては、乙土地に地役権が存続することとなる場合に限る。)を転写し、かつ、分筆の登記に係る申請の受付の年月日及び受付番号を記録しなければならない。この場合において、所有権及び担保権以外の権利(地役権を除く。)については分筆後の甲土地が共にその権利の目的である旨を記録し、担保権については既にその権利についての共同担保目録が作成されているときを除き共同担保目録を作成し、転写した権利の登記の末尾にその共同担保目録の記号及び目録番号を記録しなければならない。

 

 

 

出典:「土地家屋調査士試験」(法務省)(http://www.moj.go.jp/shikaku_saiyo_index5.html)を加工して作成
出典:「測量士・測量士補国家試験及び登録」(国土地理院)(https://www.gsi.go.jp/LAW/SHIKEN/SHIKEN-top.htm)を加工して作成
出典: e-Gov法令検索 (https://elaws.e-gov.go.jp/)を加工して作成