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H22-4土地合筆登記の制限

隣接する甲土地と乙土地の合筆の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。

1 アイ   2 アエ   3 イオ   4 ウエ   5 ウオ

 

 ア 甲土地及び乙土地について、いずれも敷地権である旨の登記がされている場合には、合筆の登記をすることができない。

 

○ 

敷地権である旨の登記は、土地の登記記録の甲区・乙区にされる権利の変更の登記であり、

敷地権である旨の登記がされている土地は、他の土地と合筆の登記をすることができない。(法41条6号かっこ書、昭和58年度全国首席登記官合同における質疑応答第十九・112)

 

法41条(合筆の登記の制限)

第四十一条 次に掲げる合筆の登記は、することができない。
一 相互に接続していない土地の合筆の登記
二 地目又は地番区域が相互に異なる土地の合筆の登記
三 表題部所有者又は所有権の登記名義人が相互に異なる土地の合筆の登記
四 表題部所有者又は所有権の登記名義人が相互に持分を異にする土地の合筆の登記
五 所有権の登記がない土地と所有権の登記がある土地との合筆の登記
六 所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地(権利に関する登記であって、合筆後の土地の登記記録に登記することができるものとして法務省令で定めるものがある土地を除く。)の合筆の登記

 

 

イ 甲土地及び乙土地について、いずれも先取特権の登記がされている場合であっても、当該先取特権の登記の目的並びに登記原因及びその日付が同一であれば合筆の登記をすることは妨げられない。

 

× 

甲土地及び乙土地について、いずれも先取特権の登記がされている場合であっても、

当該先取特権の登記の目的、申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付が同一であれば合筆の登記をすることは妨げられない。 (法41条6号かっこ書、規則105条2号)

 

法41条(合筆の登記の制限)

第四十一条 次に掲げる合筆の登記は、することができない。
一 相互に接続していない土地の合筆の登記
二 地目又は地番区域が相互に異なる土地の合筆の登記
三 表題部所有者又は所有権の登記名義人が相互に異なる土地の合筆の登記
四 表題部所有者又は所有権の登記名義人が相互に持分を異にする土地の合筆の登記
五 所有権の登記がない土地と所有権の登記がある土地との合筆の登記
六 所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地(権利に関する登記であって、合筆後の土地の登記記録に登記することができるものとして法務省令で定めるものがある土地を除く。)の合筆の登記

 

規則105条(合筆の登記の制限の特例)

第百五条 法第四十一条第六号の合筆後の土地の登記記録に登記することができる権利に関する登記は、次に掲げる登記とする。
一 承役地についてする地役権の登記
二 担保権の登記であって、登記の目的、申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付が同一のもの
三 信託の登記であって、法第九十七条第一項各号に掲げる登記事項が同一のもの
四 鉱害賠償登録令(昭和三十年政令第二十七号)第二十六条に規定する鉱害賠償登録に関する登記であって、鉱害賠償登録規則(昭和三十年法務省令第四十七号)第二条に規定する登録番号が同一のもの
(合筆の登記における表題部の記録方法)
第百六条 登記官は、甲土地を乙土地に合筆する合筆の登記をするときは、乙土地の登記記録の表題部に、合筆後の土地の表題部の登記事項、何番の土地を合筆した旨及び従前の土地の表題部の登記事項の変更部分を抹消する記号を記録しなければならない。
2 登記官は、前項の場合には、甲土地の登記記録の表題部に何番の土地に合筆した旨及び従前の土地の表題部の登記事項を抹消する記号を記録し、当該登記記録を閉鎖しなければならない。

 

 

ウ 甲土地及び乙土地について、いずれも破産手続開始の登記がされている場合には、その後いずれも破産手続終結の登記がされているときであっても、破産手続開始の登記を抹消しなければ合筆の登記をすることができない。

 

×

破産手続開始の決定があると、破産財団に属する財産の管理処分権は、裁判所が選任した破産管財人に専属し、(破産法78条1項)

また、破産者が破産手続開始後に破産財団に属する財産に関してした法律行為は、破産手続の関係において、その効力を主張することができない。(破産法47条1項)

破産手続開始の登記は、不動産が破産財団に属するものであり、破産者である登記名義人にその処分権はないことを公示するものである。

つまり、破産手続開始の登記は、「処分の制限」の登記であるので、この登記がある土地は、合筆の登記をすることができない。(法41条6号)

 

しかし、その後、破産手続終結の決定により破産財団に属していた不動産の管理処分権が、破産者に回復した場合、

そのことを明らかにするため破産手続終結の登記がされて、破産手続開始の登記の失効が公示される。

したがって、破産手続開始の登記がされている土地であっても、その後、破産手続終結の登記がされている場合は、

破産手続開始の登記は失効しているものとして、他の土地との合筆の登記をすることができる。(登記研究)

 

破産法78条(破産管財人の権限)

第七十八条 破産手続開始の決定があった場合には、破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利は、裁判所が選任した破産管財人に専属する。

 

破産法47条(開始後の法律行為の効力)

第四十七条 破産者が破産手続開始後に破産財団に属する財産に関してした法律行為は、破産手続の関係においては、その効力を主張することができない。 

 

法41条(合筆の登記の制限)

第四十一条 次に掲げる合筆の登記は、することができない。
一 相互に接続していない土地の合筆の登記
二 地目又は地番区域が相互に異なる土地の合筆の登記
三 表題部所有者又は所有権の登記名義人が相互に異なる土地の合筆の登記
四 表題部所有者又は所有権の登記名義人が相互に持分を異にする土地の合筆の登記
五 所有権の登記がない土地と所有権の登記がある土地との合筆の登記
六 所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地(権利に関する登記であって、合筆後の土地の登記記録に登記することができるものとして法務省令で定めるものがある土地を除く。)の合筆の登記

 

 

エ 甲土地及び乙土地について、いずれも信託の登記がされている場合であっても、当該信託の登記について、信託目録に記録された登記事項のすべてが同一であれば、合筆の登記をすることは妨げられない。

 

登記官は、信託の登記をするときは、法第九十七条第一項各号に掲げる登記事項を記録した信託目録を作成する(法97条3項、規則176条1項)

信託の登記であって、法第九十七条第一項各号に掲げる登記事項が同一のものは、合筆の登記をすることができる。(法41条6号かっこ書、規則105条2号)

 

法97条(信託の登記の登記事項)

第九十七条 信託の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
一 委託者、受託者及び受益者の氏名又は名称及び住所
二 受益者の指定に関する条件又は受益者を定める方法の定めがあるときは、その定め
三 信託管理人があるときは、その氏名又は名称及び住所
四 受益者代理人があるときは、その氏名又は名称及び住所
五 信託法(平成十八年法律第百八号)第百八十五条第三項に規定する受益証券発行信託であるときは、その旨
六 信託法第二百五十八条第一項に規定する受益者の定めのない信託であるときは、その旨
七 公益信託ニ関スル法律(大正十一年法律第六十二号)第一条に規定する公益信託であるときは、その旨
八 信託の目的
九 信託財産の管理方法
十 信託の終了の事由
十一 その他の信託の条項
2 前項第二号から第六号までに掲げる事項のいずれかを登記したときは、同項第一号の受益者(同項第四号に掲げる事項を登記した場合にあっては、当該受益者代理人が代理する受益者に限る。)の氏名又は名称及び住所を登記することを要しない。
3 登記官は、第一項各号に掲げる事項を明らかにするため、法務省令で定めるところにより、信託目録を作成することができる。

 

規則176条(信託目録)

第百七十六条 登記官は、信託の登記をするときは、法第九十七条第一項各号に掲げる登記事項を記録した信託目録を作成し、当該目録に目録番号を付した上、当該信託の登記の末尾に信託目録の目録番号を記録しなければならない。
2 第百二条第一項後段の規定は、信託の登記がある不動産について分筆の登記又は建物の分割の登記若しくは建物の区分の登記をする場合の信託目録について準用する。この場合には、登記官は、分筆後又は分割後若しくは区分後の信託目録の目録番号を変更しなければならない。
3 登記官は、信託の変更の登記をするときは、信託目録の記録を変更しなければならない。 

 

法41条(合筆の登記の制限)

第四十一条 次に掲げる合筆の登記は、することができない。
一 相互に接続していない土地の合筆の登記
二 地目又は地番区域が相互に異なる土地の合筆の登記
三 表題部所有者又は所有権の登記名義人が相互に異なる土地の合筆の登記
四 表題部所有者又は所有権の登記名義人が相互に持分を異にする土地の合筆の登記
五 所有権の登記がない土地と所有権の登記がある土地との合筆の登記
六 所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地(権利に関する登記であって、合筆後の土地の登記記録に登記することができるものとして法務省令で定めるものがある土地を除く。)の合筆の登記 

 

規則105条(合筆の登記の制限の特例)

第百五条 法第四十一条第六号の合筆後の土地の登記記録に登記することができる権利に関する登記は、次に掲げる登記とする。
一 承役地についてする地役権の登記
二 担保権の登記であって、登記の目的、申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付が同一のもの
三 信託の登記であって、法第九十七条第一項各号に掲げる登記事項が同一のもの
四 鉱害賠償登録令(昭和三十年政令第二十七号)第二十六条に規定する鉱害賠償登録に関する登記であって、鉱害賠償登録規則(昭和三十年法務省令第四十七号)第二条に規定する登録番号が同一のもの

 

 

オ 甲土地及び乙土地について、不在者の財産管理人が合筆の登記を申請するには、家庭裁判所の許可を得なければならない。

 

× 

不在者の財産管理人は、民法第百三条に規定する権限を超える行為を必要とするときは、家庭裁判所の許可を得て、その行為をすることができるが、(民法28条)

不在者の財産管理人が土地の分筆の登記又は合筆の登記を申請する行為は、民法103条2号にいう改良行為とみることができるので、家庭裁判所の許可を要しない。(登記研究)

  

民法103条(権限の定めのない代理人の権限)

第百三条 権限の定めのない代理人は、次に掲げる行為のみをする権限を有する。
一 保存行為
二 代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為

 

民法28条(管理人の権限)

第二十八条 管理人は、第百三条に規定する権限を超える行為を必要とするときは、家庭裁判所の許可を得て、その行為をすることができる。不在者の生死が明らかでない場合において、その管理人が不在者が定めた権限を超える行為を必要とするときも、同様とする。 

 

 

 

出典:「土地家屋調査士試験」(法務省)(http://www.moj.go.jp/shikaku_saiyo_index5.html)を加工して作成
出典:「測量士・測量士補国家試験及び登録」(国土地理院)(https://www.gsi.go.jp/LAW/SHIKEN/SHIKEN-top.htm)を加工して作成
出典: e-Gov法令検索 (https://elaws.e-gov.go.jp/)を加工して作成