民法-民法113条(無権代理)
H22-1無権代理と相続
ア CがAに対して無権代理行為による損害賠償として1,000万円を請求したところ、Aが死亡してその地位をBが単独で相続した場合には、Bは、無権代理行為の追認を拒絶することにより、無権代理行為による損害賠償責任を免れることができる。
誤り
相続人たるB本人が、A被相続人の無権代理行為の追認を拒絶(民法113条)しても、何ら信義則に反せず、
A被相続人の無権代理行為は、B本人の相続により当然有効となるものではない(最判昭37.4.20)。
ただし、Bは追認拒絶できる地位にあることを理由として、A無権代理人の責任(民法117条1項)も追及されるため、
本肢のB本人は、無権代理行為の追認を拒絶することにより、無権代理行為による損害賠償責任を免れることができない。
イ CがBに対し甲不動産の引渡しを求めたところ、BがAの無権代理行為の追認を拒絶した後Bが死亡してその地位をAが単独で相続した場合には、Aは、Cから当該売買契約に基ずく甲不動産の引渡請求をされても、Bの上記追認拒絶の効果を主張してCの請求を拒むことができない。
誤り
無権代理行為は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生ぜず、(民法113条1項)
本人が追認を拒絶すれば無権代理行為の効力が本人に及ばないことが確定し、追認拒絶の後は、本人であっても追認により無権代理行為を有効にすることができない。
B本人の追認拒絶後にBが死亡し、A無権代理人がB本人を相続したとしても、Bによる追認拒絶の効果に何ら影響はない。(最判平成10.7.17)
よって、Aは、Cから当該売買契約に基づく甲不動産の引渡請求をされても、Bの上記追認拒絶の効果を主張してCの請求を拒むことができる。
オ CがBに対し甲不動産の引渡しを求めたところ、Aが死亡してその地位をB及びAB間の子Dが共同で相続した後Bが死亡してその地位をDが単独で相続した場合には、Dは、Cから当該売買契約に基ずく甲不動産の引渡請求をされたときは、無権代理行為の追認を拒絶してCの請求を拒むことができない。
正しい
AB間の子Dが、まずA無権代理人をB本人と共に相続し、その後さらにB本人を相続した場合、
当該相続人Dは、B本人みずから法律行為をしたのと同様の地位ないし効果を生ずる(最判昭63.3.1)。
よって、Dは、Cから当該売買契約に基ずく甲不動産の引渡請求をされたときは、無権代理行為の追認を拒絶してCの請求を拒むことができない。