R2-4特別の委任
申請人Aが土地家屋調査士Bに対して土地の合筆の登記の申請を委任し、A作成の委任状には委任事項として、「土地の合筆申請に関する一切の権限」とのみ記載されている。BがAを代理して土地の合筆の登記を申請するに際し、この委任状を代理権を証する情報として提供した場合におけるBの権限に関する次のアからオまでの記述のうち正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。なお、いすれの場合もBはAから特別の委任を受けていないものとする。
1 アイ 2 アウ 3 イエ 4 ウオ 5 エオ
ア Bは、土地の合筆の登記を申請した後にAが登記申請意思を撤回した場合、当該申請を取り下げることはできない。
○
登記の申請が委任による代理人によってされた場合,
登記申請の補正のための取下げは、申請人からの特別の委任がなくとも取り下げることができるが、(昭 29.12.25 民甲 2637 号)
登記申請を中止するための取下げは、申請人全員からの同意が必要であり,取下げのための特別の委任が必要となる (昭 29.12.25 民甲 2637 号)
イ Bは、土地の合筆の登記の申請の際に納付した登録免許税に過誤納があった場合、その還付金を受領することができない。
○
登記の申請代理人が登録免許税法第 31 条に基づく過誤納金が生じたことによる還付金を代理受領する場合の還付通知書に添付する委任状について、
「登記に係る登録免許税の還付金を受領すること」の特別の委任が必要となる(平26.5.9民二 272号)
ウ Bは、電子申請の方法により、土地の合筆の登記を申請する場合、添付情報として、登記識別情報を提供することができる。
×
電子申請の方法により,登記識別情報を提供する場合の委任状について,
「登記識別情報の暗号化に関する一切の権限」の特別の委任が必要となる (平20.1.11 民二 57 号)。
エ Bは、電子申請の方法により、土地の合筆の登記を申請し、当該登記が完了した場合、Bの使用に係る電子計算機に備え付けられたファイルに記録する方法で、登記識別情報の通知を受けることができる。
×
電子申請の方法により,登記識別情報の通知を受ける場合の委任状につ いて,
「登記識別情報の復号に関する一切の権限」の特別の委任が必要となる(平 20.1.11 民二 57 号)。
オ Bは、土地の合筆の登記を申請した後、当該申請が却下された場合、却下処分に対し、Aの代理人として審査請求をすることができる。
×
登記申請が代理人によってされた場合であっても、審査請求は登記申請とは別の手続であるため,審査請求の代理人としての特別の授権が必要となる(行政不服審査法 12条1項)。