土地家屋調査士・測量士補独学最短合格塾

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R1-22建物書式

 次の〔見取図〕のとおり、A市B町一丁目23番1及び23番2の土地上に、3個の区分建物からなる一棟の建物(以下「本件建物」という。)及びタワーパーキング機械式駐車場 (以下「本件駐車場」という。)が新築された。
 土地家屋調査士民事花子は、【事実関係】のとおり、A市C町二丁目24番4号に本店を置く株式会社未来高速鉄道代表取締役である乙田三郎から、表示に関する登記についての相談を受けて事情を聴取し、必要となる全ての表示に関する登記の申請手続についての代理並びに当該登記に必要な調査及び測量の依頼を受け、現地の測量及び【登記記録の内容】のとおり登記記録を調査した上、必要となる登記の申請をした。
 以上に基づき,次の問1から問3までに答えなさい。

①前文、調査図:「申請人」、「対象建物」、「申請する登記」を読み取る。

・申請人 :株式会社未来高速鉄道代表取締役 乙田三郎
・対象建物 :新築された3個の区分建物からなる一棟の建物(本件建物)
・申請する登記:新築した建物に係る登記

 

 

問1 別紙第22問答案用紙の第1欄の空欄を埋めて、土地家屋調査士民事花子が【事実関係】8で行った登記の申請に係る登記の申請書のうち、甲区分建物についての登記の申請書を完成させなさい。ただし、登記の申請において、会社法人等番号は用いないものとする。

③ 問:先に問を読み、別紙の 「○:重要事項」を知る。まだ「×:理解できない部分」は読み飛ばす。

問1:登記申請書 :×
事実関係8で申請した登記のうち,甲区分建物についての登記申請書 。会社法人等番号は用いない。

問2 土地家屋調査士民事花子は、乙田三郎から、「数年後に予定されている市の名称変更により本件建物の名称を変更する予定がありますが、一棟の建物の名称を変更した場合には、どのような登記を、いつからいつまでに申請する必要がありますか。その登記の申請を怠った場合に処罰を受ける可能性があるのであれば、その罰則の内容も併せて教えてください。」との質問を受けた。この質問に対し、土地家屋調査士民事花子が説明すべき適切な内容として、①申請すべき登記の目的、②当該登記を申請すべき期間、③罰則の有無及びその内容について、それぞれ別紙第22問答案用紙第2欄の該当欄に記載しなさい。

問2:質問への解答 :◯
一棟の建物の名称を変更した場合,変更から1月以内に区分建物の表題部変更登記の申請が必要。この申請義務を怠った場合,10万円以下の過料に処せられる。 
→1「区分建物表題部変更登記」,2「一棟の建物の名称を変更した日から1月以内」,3「10万円以下の過料の罰則」 

問3 別紙第22問答案用紙の第3欄を用いて、問1の登記の申請書に添付する建物図面及び各階平面図を完成させなさい。

問3:建物図面及び各階平面図の作図 :× 

 

(注)

1 本問における行為は全て適法に行われており、法律上必要な書類は全て適法に作成されているものとする。

2 登記の申請は、書面申請の方法によってするものとする。

3 建物図面は500分の1の縮尺により、各階平面図は250分の1の縮尺により、それぞれ作成すること。

4 訂正、加入又は削除をしたときは、訂正は訂正する字句に線を引き、近接箇所に訂正後の字句を記載し、加入は加入する部分を明示して行い、削除は削除する字句に線を引いて、訂正、加入又は削除をしたことが明確に分かるように記載すること。ただし、押印や字数を記入することは要しない。

 

②注意事項:「×例年同様な事項」、「○例外的な事項」をチェック。

・注1:適法であり書類が揃っている:×
・注2:書面申請:×
・注3:建物図面 500 分の 1 ,各階平面図 250 分の 1 :×
・注4:訂正方法:×

 

 

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④別紙:③問に答える「○:重要事項」を読み取る。

別紙1:見取図 

1 配置図 
本件建物は,23番1と23番2の土地上に所在
本件駐車場は、23番2の土地上に所在 



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別紙1:見取図 
2 立面図 
注意5:屋上の塔屋(階段室)は床面積に含まれない→本件建物は8階建 



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別紙1:見取図 
3 平面図 
注意7:パイプスペース, エレベーター室,ホール(廊下), エスカレーターが法定共用部分
→本件建物は、3つの専有部分で構成(1階 2階の(あ)専有部分・1階 2階の(い)専有部分・3階~8階の(う) 専有部分)
注意3:本件建物の構造は、鉄筋コンクリート造陸屋根で、壁厚が 20cm
注意4:本件駐車場の構造は、鉄骨造合金メッキ鋼板ぶき平家建で、壁厚が10㎝ 

 


【事実関係】

1 株式会社未来高速鉄道は,A市B町一丁目23番2の土地を所有していたが、A市B町一 丁目23番1の土地を所有しているA市土地開発公社から、平成31年4月12日に地上権の設定を受け、これらの土地上に本件建物及び本件駐車場を新築することを計画した。

④別紙:③問に答える「○:重要事項」を読み取る。

別紙2:事実関係 

1
本件建物が所在する土地23番2の敷地利用権は所有権
23番1の敷地利用権は地上権 

 

2 本件建物は、3つの区分建物、すなわち、〔見取図〕図3・平面図記載の1階及び2階の (あ)専有部分(以下「甲区分建物」という。)、1階及び2階の(い)専有部分(以下「乙区分建物」 という。)並びに3階から8階までの(う)専有部分(以下「丙区分建物」という。)からなるものとすることとした。

2,3,7
一棟の建物の名称:「Aランドマークタウン」
(あ)専有部分:甲区分建物:「B町行政センター」:「事務所」
(い)専有部分:乙区分建物:「みらい高速鉄道トラベル」:「店舗・事務所」
(う)専有部分:丙区分建物:「ABレジデンス」:「共同住宅

 

3 本件建物について、株式会社未来高速鉄道は、一棟の建物の名称を「Aランドマークタウン」とし、区分建物の名称は、甲区分建物を「B町行政センター」、乙区分建物「みらい高速鉄道トラベル」、丙区分建物を「ABレジデンス」とすることとした。

2,3,7
一棟の建物の名称:「Aランドマークタウン」
(あ)専有部分:甲区分建物:「B町行政センター」:「事務所」
(い)専有部分:乙区分建物:「みらい高速鉄道トラベル」:「店舗・事務所」
(う)専有部分:丙区分建物:「ABレジデンス」:「共同住宅

 

4 甲区分建物は、B町におけるA市の行政サービスを行う事務所とするため、株式会社未来高速鉄道が所有権の保存の登記をした後、A市に売却することを予定している。
本件駐車場は、B町行政センターを利用する市民のための駐車場であり、甲区分建物の附属建物として、甲区分建物とともにA市に売却することを予定している。

4
本件駐車場は,甲区分建物の附属建物として登記 

 

5 最初に本件建物の専有部分の全部を所有することとなる株式会社未来高速鉄道は、令和元年10月10日、公正証書により、規約(以下「本件原始規約」という。)を設定した。
 本件原始規約では、各専有部分に係る各土地についての敷地利用権の割合を、下記のとおりとする旨が定められている。

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5
原始取得者である申請人が,公正証書により敷地利用権の割合を定めた
→規約通り敷地利用権の割合を登記 


6 本件建物及び本件駐車場は、令和元年10月13日に完成し、同日、引渡しが完了した。

6
本件建物及び本件駐車場の新築の日付→令和元年10月13日

 

7 各区分建物の種類は、土地家屋調査士民事花子による調査の結果、甲区分建物は「事務所」、乙区分建物は「店舗・事務所」、西区分建物は「共同住宅」と確認した。

2,3,7
一棟の建物の名称:「Aランドマークタウン」
(あ)専有部分:甲区分建物:「B町行政センター」:「事務所」
(い)専有部分:乙区分建物:「みらい高速鉄道トラベル」:「店舗・事務所」
(う)専有部分:丙区分建物:「ABレジデンス」:「共同住宅

 

8 土地家屋調査士民事花子は、株式会社未来高速鉄道代表取締役である乙田三郎から、本件建物及び本件駐車場について必要となる全ての表示に関する登記の申請手続についての代理並びに当該登記に必要な調査及び測量の依頼を受け、令和元年10月18日、本件建物に属する全ての区分建物及び本件駐車場について必要となる表示に関する登記の申請を行った。

8
本件建物及び本件駐車場について必要となる全ての表示に関する登記の申請
→甲区分建物について問1:登記申請書を書く 



 

【登記記録の内容】

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④別紙:③問に答える「○:重要事項」を読み取る。

別紙3:土地の登記記録

23番1の登記記録 :建物の原始取得者は,地上権の設定を受けている
23番2の登記記録 :建物の原始取得者は,所有権の登記名義人である

 

 

答案用紙

 

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解説

1.問題把握

・問1:株式会社未来高速鉄道 (代表取締役 乙田三郎)から,本件建物の甲区分建物についての表題登記を申請
・建物の所在する土地の敷地利用権は敷地権→規約に定められた通り登記

 

2.各階平面図の作図

・作図メモ:建物の形状の左上を原点としたX座標とY座標の累計の数値をメモ
・記載事項:床面積、求積表を記載
・床面積の計算:
主である建物である本件建物は,区分建物のため、柱の内側線で囲まれた部分の水平投影面積を計算
附属建物である本件駐車場は,非区分建物のため、柱の中心線で囲まれた部分の水平投影面積を計算

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3.建物図面の作図 

・主である建物=本件建物は,区分建物のため、物の1階の形状を点線で書き,当該区分建物の形状を実線書く 
・一棟の建物内における当該区分建物の形状の位置を示す→一棟の建物の壁芯から,当該区分建物の内側までの距離を表示 
・当該区分建物は1階のみに存するものではない→建物の存する部分を記載→「主である建物の存する部分 1階、2階」
・所在は一棟の建物の所在を記録→主である建物=本件建物の床面積の存する部分が多い「23番地1」を先に記載→「A市B町一丁目23番地1、23番地2」

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4.登記申請書 

登記の目的 :区分建物表題登記
添付情報 :建物図面・各階平面図・所有権証明書・住所証明書・代理権限証書・規約証明書(公正証書により敷地利用権の割合を規約で定めているため)・登記事項証明書(申請人が法人であり,会社法人等番号を提供しないため) 
申請人 : A市C町二丁目24番4号 株式会社未来高速鉄道
→法人からの申請であるが,会社法人等番号を提供しない→会社法人等番号の記載なし。代表取締役 乙田三郎を記載。
建物の表示 :
1 一棟の建物の表示
一棟の建物の所在,名称,構造,床面積を記録
原因及びその日付欄:新築年月日は記録しない 

2 敷地権の目的である土地の表示 
法定敷地である 23 番1と23番2の土地について,土地の符号,所在及び地番、地目,地積を記録

3 区分した建物の表示 
・①行目
家屋番号:登記所が付番→空白
主である建物である甲区分建物の名称,主である建物の表示,種類,構造,床面積を記載
登記原因及びその日付:「令和1 年10月13日新築」
細区分された区分建物→屋根の表示は不要。床面積の表示「1階部分 2階部分」
・②行目
附属建物である本件駐車場の符号,構造,床面積を記載
主である建物が属する一棟の建物とは別の非区分建物→構造欄に所在も記載 

4 敷地権の表示 
公正証書による規約で定められた敷地利用権の割合を記載
原因及びその日付:新築工事完了の「令和1年10月13日敷地権」 

 

 

解答例

 

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出典:「土地家屋調査士試験」(法務省)(http://www.moj.go.jp/shikaku_saiyo_index5.html)を加工して作成
出典:「測量士・測量士補国家試験及び登録」(国土地理院)(https://www.gsi.go.jp/LAW/SHIKEN/SHIKEN-top.htm)を加工して作成
出典: e-Gov法令検索 (https://elaws.e-gov.go.jp/)を加工して作成