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R1-14代位による登記

登記の代位申請に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。

1 アイ   2 アエ   3 イオ   4 ウエ   5 ウオ

ア 土地区画整理事業の施行者は、土地区画整理事業の施行のために必要がある場合においても、所有権の登記名義人に代位して、土地の分筆又は合筆の登記を申請することはできない。

×

土地区画整理事業を施行する者は、土地区画整理事業の施行のために必要がある場合は,

所有者に代位して土地の分筆又は合筆の登記を申請することができる(土地区画整理法82条1項,土地区画整理登記令2条)。

 

土地区画整理法82条1項

(土地の分割及び合併)
第八十二条 施行者は、土地区画整理事業の施行のために必要がある場合においては、所有者に代わつて土地の分割又は合併の手続をすることができる。

 

イ 一筆の土地の一部について地役権の設定を受けた地役権者は、当該土地の所有権の登記名義人に代位して、その一部分を分筆する分筆の登記を申請することができる。

×

地役権者が「分筆の登記」を代位申請するためには、代位原因となる保全すべき自己の債権を有していなければならないが、 

この点につき、地役権者が所有権の登記名義人に対して有する債権は、「地役権設定登記請求権」であるものの、

地役権は、一筆の土地の一部を目的として登記することができるため、この債権は、「分筆の登記」をしなければ保全されないものではない。

つまり、地役権は土地の一部について設定できるので、地役権者は分筆しないと自己の債権(地役権設定登記請求権)が保全されないものではないため、代位による分筆の登記は申請することができない(民法 423 条)。

よって、一筆の土地の一部について地役権の設定を受けた地役権者は、当該土地の所有権の登記名義人に代位して、その一部分を分筆する分筆の登記を申請することができない。

 

民法423条1項

債権者代位権の要件)
第四百二十三条 債権者は、自己の債権を保全するため必要があるときは、債務者に属する権利(以下「被代位権利」という。)を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利及び差押えを禁じられた権利は、この限りでない。

法80条1項2号

(地役権の登記の登記事項等)
第八十条 承役地民法第二百八十五条第一項に規定する承役地をいう。以下この条において同じ。)についてする地役権の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
二 地役権設定の目的及び範囲 

 

ウ 一筆の土地の一部について処分禁止の仮処分命令を得た債権者は、当該仮処分命令の正本を代位原因を証する情報として、当該土地の所有権の登記名義人である債務者に代位して、その一部分を分筆する分筆の登記を申請することができる。

一筆の土地の一部について処分禁止の仮処分命令を得た者は、所有権の登記名義人に代位して、その部分を分筆する分筆の登記を申請することができる。(昭27.9.19民工308号)

この場合、当該仮処分命令の正本が代位原因を証する情報となる。(昭55.1.17民法三565号)

よって、一筆の土地の一部について処分禁止の仮処分命令を得た債権者は、当該仮処分命令の正本を代位原因を証する情報として、

当該土地の所有権の登記名義人である債務者に代位して、その一部分を分筆する土地の分筆の登記を申請することができる。

 

 

エ 一筆の土地について相続人A及びBを所有権の登記名義人とする法定相続分に応じた相続による所有権の移転の登記がされた後に、当該土地を二筆に分筆してA及びBがそれぞれ一筆ずつ取得する内容の遺産分割調停が成立した場合には、当該遺産分割調停の調停調書の正本を代位原因を証する情報として、Aは、単独で、Bに代位して、当該土地の分筆の登記を申請することができる。

一筆の土地につき共同相続の登記がされた後に遺産分割の調停が成立した場合、相続人全員から分筆の登記を申請し、その後に所有権移転登記をするのが通常の手続であるが、

遺産分割協議により土地の一部を相続することとなった相続人は、遺産分割協議書を添付し、分筆の登記を申請することができる(平 2.4.24 民三 1528号)。

この場合、他の相続人が分筆に協力しないときは、

各相続人は遺産分割の調停調書の正本又は謄本を代位原因を証する情報として、他の相続人に代位して単独で分筆の登記の申請をすることができる。(平2.4.24民法三1528号)

つまり、本肢のように、当該遺産分割調停の調停調書の正本を代位原因を証する情報として、Aは、単独で、Bに代位して、当該土地の分筆の登記を申請することができる。

オ A及びBが所有権の登記名義人であり、地目が農地である土地について、農地法所定の許可を受けた上で宅地としたにもかかわらず、Bが地目の変更の登記の申請に応じないときは、Aは、Bに代位して、当該土地の地目の変更の登記を申請することができる。

×

土地が共有の場合の土地の表題部の変更登記は,登記上の地目を現況の変化と一致させるための報告的登記であり、当該土地が共有であるときは、共有物の「保存行為」にあたり、共有者の1人から申請できるため、(民法 252条ただし書,法30条)

代位による登記を申請することができない。

 

よって、A及びBが所有権の登記名義人であり、地目が農地である土地について、農地法所定の許可を受けた上で宅地としたにもかかわらず、Bが地目の変更の登記の申請に応じないときは、

Aは、Bに代位することなく、当該土地の地目の変更の登記を申請することができる。

 

法37条1項

(地目又は地積の変更の登記の申請)
第三十七条 地目又は地積について変更があったときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人は、その変更があった日から一月以内に、当該地目又は地積に関する変更の登記を申請しなければならない。

民法252条

 

 (共有物の管理)
第二百五十二条 共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。

 

 

 

 

 

出典:「土地家屋調査士試験」(法務省)(http://www.moj.go.jp/shikaku_saiyo_index5.html)を加工して作成
出典:「測量士・測量士補国家試験及び登録」(国土地理院)(https://www.gsi.go.jp/LAW/SHIKEN/SHIKEN-top.htm)を加工して作成
出典: e-Gov法令検索 (https://elaws.e-gov.go.jp/)を加工して作成