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H30-15建物分割登記

建物の分割の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組み合せは後記1から5までのうち、どれか。

1 アイ   2 アオ   3 イウ   4 ウエ   5 エオ

 

ア 主である建物と附属建物との間に道路が築造されたときは、登記官は、その建物の分割の登記を職権ですることができる。

×

物理的現況を示すものである表示に関する登記は、登記官が、職権ですることができるが、

不動産の個数を変更する「建物の分割の登記」(=「形成的登記」)については、申請人の意思に基づくものであり、登記官が職権ですることができない。

さらに、主である建物と附属建物が国道を隔てているなど,地理的に離れている場合であっても,効用上一体として利用されていれば,1個の建物として取り扱われるため、(明治32.8.1民刑1361号) 

本肢のように、主である建物と附属建物との間に道路が築造されたときでも、登記官は、その建物の分割の登記を職権ですることはない。

 

法28条

(職権による表示に関する登記)
第二十八条 表示に関する登記は、登記官が、職権ですることができる。 

準則78条1項

(建物の個数の基準)

効用上一体として利用される状態にある数棟の建物は,所有者の意思に反しない限り,1個の建物として取り扱うものとする。

 

イ 共用部分である旨の登記がある建物であっても、建物の分割の登記をすることができる。

共用部分である旨の登記がある建物であっても、建物の分割の登記をすることができる。

建物の合併の登記はすることはできない。

 

法54条2項

(建物の分割、区分又は合併の登記)
2 共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物についての建物の分割の登記又は建物の区分の登記は、所有者以外の者は、申請することができない。

 

ウ 甲建物の附属建物を分割して乙建物とする建物の分割の登記を申請する場合において、甲建物を増築したことにより床面積の変更が生じているときは、当該増築による表題部の変更の登記と当該建物の分割の登記とを一の申請情報によって申請することができる。

同一の建物についてする二以上の登記が、

建物の表題部の変更の登記または更正の登記および分割の登記,区分の登記若しくは合併の登記であるときは、

一の申請情報ですることができる(規則35条7号)。

 

規則35条7号

(一の申請情報によって申請することができる場合)
第三十五条 令第四条ただし書の法務省令で定めるときは、次に掲げるときとする。
七 同一の不動産について申請する二以上の登記が、不動産の表題部の登記事項に関する変更の登記又は更正の登記及び土地の分筆の登記若しくは合筆の登記又は建物の分割の登記、建物の区分の登記若しくは建物の合併の登記であるとき。 

 

エ 抵当権の設定の登記がされている甲建物から、その附属建物を分割して乙建物とする建物の分割の登記をする場合において、分割後の甲建物について当該抵当権を消滅させるときは、当該抵当権の登記名義人がその消滅を承諾したことを証する情報及び登記識別情報を提供しなければならない。

×

所有権以外の権利に関する登記(所有権移転仮登記,買戻権,抵当権, 根抵当権,地上権,先取特権,地役権,永小作権,賃借権など)のある建物を分割する場合,

権利者が分割後の1個を除いた他の建物につき,当該所有権以外の権利に関する登記の消滅を証する書面(消滅承諾書)を添付して分割することで,

分割後の1個のみ所有権以外の権利に関する登記を存続させ,他の建物の所有権以外の権利に関する登記を消滅させることができるが、(法 54条3項,40条)

本肢の、権利に関する登記に係わる「登記識別情報」を提供すべきとする規定はない。

 

法54条3項

(建物の分割、区分又は合併の登記)
3 第四十条の規定は、所有権等の登記以外の権利に関する登記がある建物についての建物の分割の登記又は建物の区分の登記をするときについて準用する。 

法40条

(分筆に伴う権利の消滅の登記)
第四十条 登記官は、所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地について分筆の登記をする場合において、当該分筆の登記の申請情報と併せて当該権利に関する登記に係る権利の登記名義人(当該権利に関する登記が抵当権の登記である場合において、抵当証券が発行されているときは、当該抵当証券の所持人又は裏書人を含む。)が当該権利を分筆後のいずれかの土地について消滅させることを承諾したことを証する情報が提供されたとき(当該権利を目的とする第三者の権利に関する登記がある場合にあっては、当該第三者が承諾したことを証する情報が併せて提供されたときに限る。)は、法務省令で定めるところにより、当該承諾に係る土地について当該権利が消滅した旨を登記しなければならない。 

 

オ 甲建物について所有権の登記がされた後、附属建物を新築したことによる甲建物の表題部の変更の登記がされている場合において、その附属建物を分割して乙建物とする建物の分割の登記の申請をしたときは、申請人があらかじめ登記識別情報の通知を希望しない旨の申出をしない限り、分割後の乙建物についての登記識別情報が通知される。

×

登記官は, 申請人が自ら登記名義人となる場合の登記を完了したときは, 速やかに,当該申請人に対して登記識別情報を通知しなければならない(法 21 条)。

本肢の建物の分割の登記に伴う、規則128条2項「分割による所有権の登記」は、

所有権の登記の転写に代わるものであるから、法21条における「その登記をすることによって申請人自らが登記名義人となる」登記には該当しない。

よって、本肢の分割の登記が完了しても,登記識別情報は通知されない。

なお、不動産の表示に関する登記では、所有権の登記がある土地の合筆, 建物の合体,建物の合併登記が完了したときに登記識別情報が通知される(令8条1項1 号~3号)。

 

 

法21条

(登記識別情報の通知)
第二十一条 登記官は、その登記をすることによって申請人自らが登記名義人となる場合において、

当該登記を完了したときは、法務省令で定めるところにより、速やかに、当該申請人に対し、当該登記に係る登記識別情報を通知しなければならない。

ただし、当該申請人があらかじめ登記識別情報の通知を希望しない旨の申出をした場合その他の法務省令で定める場合は、この限りでない。

規則64条1項

 (登記識別情報の通知を要しない場合等)
第六十四条 法第二十一条ただし書法務省令で定める場合は、次に掲げる場合とする。
一 法第二十一条本文の規定により登記識別情報の通知を受けるべき者があらかじめ登記識別情報の通知を希望しない旨の申出をした場合(官庁又は公署が登記権利者のために登記の嘱託をした場合において、当該官庁又は公署が当該登記権利者の申出に基づいて登記識別情報の通知を希望しない旨の申出をしたときを含む。)

規則128条1項、2項

(建物の分割の登記における権利部の記録方法)
第百二十八条 第百二条及び第百四条第一項から第三項までの規定は、前条第一項の規定により甲建物からその附属建物を分割して乙建物とする建物の分割の登記をする場合について準用する。 

2 登記官は、分割前の建物について現に効力を有する所有権の登記がされた後当該分割に係る附属建物の新築による当該分割前の建物の表題部の登記事項に関する変更の登記がされていたときは、前項において準用する第百二条の規定により当該所有権の登記を転写することに代えて、乙建物の登記記録の甲区に次に掲げる事項を記録しなければならない。
一 分割による所有権の登記をする旨
二 所有権の登記名義人の氏名又は名称及び住所並びに登記名義人が二人以上であるときは当該所有権の登記名義人ごとの持分
三 登記の年月日

規則102条1項 

(分筆の登記における権利部の記録方法)
第百二条 登記官は、前条の場合において、乙土地の登記記録の権利部の相当区に、甲土地の登記記録から権利に関する登記(地役権の登記にあっては、乙土地に地役権が存続することとなる場合に限る。)を転写し、かつ、分筆の登記に係る申請の受付の年月日及び受付番号を記録しなければならない。

この場合において、所有権及び担保権以外の権利(地役権を除く。)については分筆後の甲土地が共にその権利の目的である旨を記録し、担保権については既にその権利についての共同担保目録が作成されているときを除き共同担保目録を作成し、転写した権利の登記の末尾にその共同担保目録の記号及び目録番号を記録しなければならない。

 

 

 

 

出典:「土地家屋調査士試験」(法務省)(http://www.moj.go.jp/shikaku_saiyo_index5.html)を加工して作成
出典:「測量士・測量士補国家試験及び登録」(国土地理院)(https://www.gsi.go.jp/LAW/SHIKEN/SHIKEN-top.htm)を加工して作成
出典: e-Gov法令検索 (https://elaws.e-gov.go.jp/)を加工して作成