H29-1代理
任意代理に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
1 アウ 2 アオ 3 イウ 4 イエ 5 エオ
ア Aの任意代理人Bが、Aのためにすることを示して、Cからその所有する建物を買い受けた場合において、Bが当該建物に瑕疵があることを知っていたときは、Aは、Cに対し、売主の瑕疵担保責任を問うことができない。
×
代理行為について瑕疵があるか否かは、その行為をした代理人自身について決定される(民法101条1項2項)。
イ Aから何らの代理権も与えられていないBが、Aのためにすることを示して、A所有の不動産をCに売却した場合において、Cが、Bに売買契約を締結する代理権があると信じ、そのように信じたことに正当な理由があるときは、表見代理が成立する。
×
表見代理が成立するためには,
・代理権授与の表示,基本代理権の存在
・かつてあった代理権が代理行為当時には消滅していたこと
のいずれかが要件となる(民法109 条1項,民法110 条,民法112条1項)。
本肢の場合,いずれにも該当せず、表見代理は成立しない。
ウ 未成年者も任意代理人になることができるが、未成年者のした代理行為は、その法定代理人が取り消すことができる。
×
代理人に行為能力は不要であり、制限行為能力者が代理人に選任され、代理人としてした代理行為は、行為能力の制限により取り消すことができない(民法102条本文)。
この場合、制限行為能力者を代理人に選任した本人に責任があり、不利益があったとしても代理行為の取り消しは認められない。
エ 本人Aの許諾を得て任意代理人Bが復代理人Cを選任した場合には、Bは、Aに対し、Cの選任につき責任を負わない。
×
任意代理人は,本人の許諾がある場合もしくはやむを得ない事由がある場合に,復代理人を選任することができるが(民法104 条)
復代理人の行為により本人に不利益が生じたときは,代理人は,本人に対して,債務不履行の責任を負う。
オ 代理権を有しない者がした契約の本人による追認は、その契約を相手方が取り消した後は、することができない。
○
取消権と追認権は、先に行使された方が優先するため、
相手方の取消権が行使された後は、本人は追認をすることができず、
本人の追認があった後は、相手方は取消権を行使することができない(民法115条本文)。