H28-3遺產分割
遺産分割に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
1 アウ 2 アオ 3 イウ 4 イエ 5 エオ
ア 被相続人は、遺言で、相続開始の時から5年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることはできない。
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被相続人は,遺言で,相続開始時から5年を超えない期間を定めて,遺産の分割を禁ずることができる(民法908条)。
イ 相続財産中に可分債権があるときは、その債権は相続開始の時に法律上当然分割され、各共同相続人がその相続分に応じて権利を承継する。
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可分債権は,共同相続人にその相続分の割合に応じて当然に分割されて承継される(大決昭 5.12.4)。
ウ 相続人は、遺産の分割までの間は、相続開始の時に存した金銭を相続財産として保管している他の相続人に対して、自己の相続分に相当する金銭の支払いを求めることはできない。
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各共同相続人は,遺産に属する預貯金債権のうち相続開始の時の債権額の3分の1に当該共同相続人の相続分を乗じた額(標準的な当面の必要生計費,平均的な葬式の費用の額その他の事情を勘案して預貯金債権の債務者ごとに法務省令で定める額を限度とする)については,単独でその権利を行使することができる(民法909条の2)。
エ 相続の開始後認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合に、他の共同相続人において既に遺産分割協議が成立していたときは、価額のみによる支払の請求権を有する。
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遺言認知(民法781条2項)や死後の強制認知(民法787条ただし書)によって相続人となった者が、遺産分割を請求しようとする場合、
他の共同相続人において既に遺産分割協議が成立していたときは、再分割を請求することはできず、その者は価額のみによる支払の請求権を有する(民法910条)。
オ 共同相続人間において遺産分割協議が成立した場合に、相続人の一人がその協議において負担した債務を履行しないときは、その債権を有する相続人は、債務不履行を理由としてその協議を解除することができる。
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相続人の一人がその協議において負担した債務を履行しないときでも, 遺産分割協議を法定解除 (民法541条に基づく解除)することはできない(最判平元.2.9)。