H28-2相隣関係
相隣関係に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいのもの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
1 アイ 2 アウ 3 イエ 4 ウオ 5 エオ
ア 土地の所有者が隣地の所有者と共同して境界標を設けるときは、その設置の費用は、双方の土地の広狭に応じて分担する。
×
土地の所有者が隣地の所有者と共同して境界標を設けるときは、
その費用は相隣者が按分で負担し、(民法224条)
境界標は、相隣者の共有となる(民法229条)。
イ 境界線から50センチメートル以上の距離を保たないで建物の建築をしようとする者があるときであっても、建築に着手した時から1年を経過した後は、隣地の所有者は、その建築を中止させることができない。
○
建物の建築は,境界線から50cm以上の距離を保つ必要があり(民法234条1項),
これに反して建築しようとする者に対し,中止・変更させることができるが、(民法234条2項本文)
建築着手時から1年経過後または建物完成後は,損害賠償請求のみすることができる(民法234条2項ただし書)。
ウ 土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その枝を切り取ることができる。
×
隣地の竹木の枝が境界線を越えたときは,竹木の所有者に切除させることができるが、(民法233条1項)。
隣地の竹木の根が境界線を越えたときは,自ら切除することができる(民法233条2項)。
エ 土地の所有者は、境界の付近において建物を修繕するため必要があるときであっても、隣人の承諾がなければ、その住家に立ち入ることはできない。
○
(境界の付近において建物を修繕するため必要があるとき)一定の範囲の隣地の使用請求をすることができるが、 (民法209条1項本文)
住家に立ち入るには,隣人の承諾が必要であり,(民法209条1項ただし書)
損害が発生した場合には賠償しなければならない(民法209条2項)。
オ Aがその所有する土地を甲土地と乙土地とに分筆して甲土地をBに譲渡し、これにより甲土地が乙土地及びC所有の丙土地に囲まれた袋地(公道に通じない土地)となった場合において、Aが乙土地を譲渡したときは、Bは、公道に至るため、丙土地を通行することができる。
×
Aが一筆の土地を甲土地,乙土地に分筆した上,甲土地をBに譲渡し, その後,AがDに乙土地を譲渡した場合でも,
Bの乙土地に対する通行権は消滅しないため,丙土地を通行することはできない(最判平2.11.20)。