H28-16区分建物に関する登記
区分建物の表題部に関する登記の申請に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
1 アイ 2 アエ 3 イオ 4 ウエ 5 ウオ
ア 区分建物である建物を新築した株式会社Aを株式会社Bが吸収合併したときは、株式会社Bは、同社を表題部所有者とする区分建物の表題登記を申請することができる。
×
区分建物を新築した場合は,所有者は1月以内に区分建物の表題登記を申請しなければならないが、新築した所有者(原始取得者) だけに申請義務が課されており、転得者や相続人その他の一般承継人には申請適格がない(法47条2項)。
本肢の株式会社Bは合併によるその他の一般承継人であるため、
株式会社Bは、原始取得者である株式会社Aを表題部所有者とする区分建物表題登記を申請する。
イ 区分建物の表題登記をその原始取得者の相続人が申請するときは、所有権を証する情報の一部として相続を証する情報を提供しなければならない。
×
区分建物を新築した場合において,その所有者について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人の中の1人は、亡くなった区分建物の原始取得者(被相続人)を表題部所有者とする当該区分建物についての表題登記を申請することができる (昭58.11.10 民三 6400号)。
被相続人を表題部所有者とする区分建物表題登記をその相続人から申請する場合、相続があったことを証する情報を添付するが、これは本肢の所有権証明情報(令7条1項6号)でなく、一般承継証明情報(令7条1項4号)として提供する。
ウ 敷地権があるのにその登記をしないで区分建物の表題登記がされていた場合において、建物の表題部の更正の登記を申請するときは、敷地権の表示の登記原因及びその日付も申請情報の内容としなければならない。
○
敷地権の遺漏を原因とする区分建物の表題部更正登記を申請する場合,、
敷地権の目的である土地1筆ごとに,符号,敷地権の種類,敷地権の割合, 原因及びその日付を申請情報の内容としなければならない(令別表 15 項・申請情報欄イ,ロ,ハ)。
この場合の敷地権の表示の登記原因及びその日付は、「錯誤年月日 敷地権」と表示する。
エ 表題登記がない区分建物の処分の制限の登記の嘱託は、当該区分建物が属することとなった一棟の建物に属する他の区分建物についての表題登記の嘱託と併せてすることを要しない。
○
登記官が職権で表題部を設ける場合、一括申請は適用されない(昭 58.11.10 民三6400 号)。
未登記の区分建物が属する一棟の建物の専有部分の一部について、差押え、仮差押えまたは仮処分による登記が嘱託された場合、登記官が職権でその一部の表題部を作成するが、この場合は一部の表題部のみ作成され,他の部分と一括申請されることはない。
ただし,当該一棟の建物に属する残りの専有部分については、原則どおり一 括申請をしなければならない。
オ 敷地権となる敷地の所有権の登記名義人の表示と専有部分の所有権の登記名義人の表示とが一致していないときは、敷地権の発生を原因とする区分建物の表題部の変更の登記の申請は、添付情報として各所有者の同一性を証する情報を提供してすることができる。
×
敷地権となる権利の登記名義人の表示(氏名もしくは名称または住所) と,区分建物の登記名義人の表示が異なる場合、
前提として当該登記名義人の表示の変更または更正の登記をする。(昭58質疑応答)
本肢のように、当該登記名義人が添付情報として各所有者の同一性を証する情報(表示の変更を証する情報)を提供して、敷地権の発生を原因とする区分建物の表題部の変更の登記の申請はすることができない。