H27-16敷地権
敷地権に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
1 アエ 2 アオ 3 イウ 4 イエ 5 ウオ
ア 区分建物の表題登記を申請する場合において、当該区分建物が属する一棟の建物の敷地について登記された所有権の登記名義人が当該区分建物の所有者であり、かつ、規約においてその専有部分と敷地利用権との分離処分を可能とする旨を定めたことにより当該所有権が当該区分建物の敷地権とならないときは、添付情報として、当該規約の定めを証する情報を提供しなければならない。
○
区分建物表題登記では,
1.規約敷地を定めたとき(令別表12項・添付情報欄へ・(1)),
2.敷地権の割合が規約割合であるとき(令別表12項・添付情報欄へ・(2)),
3.分離処分可能規約を定めたとき(令別表12項・添付情報欄ホ、昭58.11.10民三6400号)
は、その旨の規約を証する情報を提供しなければならない。
また,敷地権の目的である土地に他の登記所の管轄に属するものがあるときは,当該土地の登記事項証明書も提供する(令別表 12項・添付情報欄へ・(3))。
よって、本肢のように、分離処分可能規約(規約においてその専有部分と敷地利用権との分離処分を可能とする旨を定めた)を定めたときは、添付情報として、当該規約の定めを証する情報を提供しなければならない。
イ 甲土地及び乙土地を法定敷地として登記されている敷地権付き区分建物について、当土地に建築されている建物部分を取り壊したことにより、当土地の上に建物が存在しないことになった場合には、甲土地について敷地権であった権利が敷地権でない権利となったことによる建物の表題部に関する変更の登記を申請しなければならない。
×
一度建物の敷地となった土地(法定敷地)が,建物の一部滅失により建物が所在する土地以外の土地となったときは,その土地は規約により建物の敷地(みなし規約敷地)と定められたものとみなす。(区分所有法5条2項前段)
当該土地が分筆され,一方の土地が区分建物の所在する土地以外の土地となった場合も同様に、その土地は規約により建物の敷地(みなし規約敷地)となる。(区分所有法5条2項後段)
よって、本肢のように、区分建物の一部を取り壊し建物が存在しない土地ができた場合でも、敷地権であった権利が敷地権でない権利となったことによる区分建物の表題部変更登記は不要である。
ウ 規約により所有権が建物の敷地権である旨の登記がされている土地について、当該規約が廃止されたことにより当該所有権が敷地権でなくなった場合には、そのことによる表題部の変更の登記は、当該土地の所有権の登記名義人が申請することができる。
×
区分建物または附属建物の敷地権であった権利が,敷地権でない権利となった場合または敷地権が消滅した場合は、
区分建物の表題部所有者または所有権の登記名義人が申請人となり、区分建物の表題部の変更登記をするが、(法51条1項)
当該土地の所有権登記名義人から申請することはできない。
エ 甲区分建物の法定敷地として登記されている土地について、甲区分建物が属する一棟の建物に属さない乙区分建物の敷地とする規約を設定したときは、敷地権の発生を原因とする乙区分建物についての表題部の変更の登記を申請することができる。
○
他の区分建物の法定敷地または規約敷地となっている土地であっても規約敷地とすることができるため、(昭58.11.10民三6400号)
甲区分建物の法定敷地として登記されている土地について、甲区分建物が属する一棟の建物に属さない乙区分建物の敷地とする規約を設定したときは、
敷地権の発生を原因とする乙区分建物についての表題部の変更の登記を申請することができる。
オ 登記官は、敷地権についてされた登記としての効力を有する抵当権の設定の登記がある敷地権付き区分建物について、その専有部分と敷地利用権との分離処分を可能とする規約を設定したことにより敷地権の変更の登記をする場合において、当該変更の登記の申請情報と併せてその抵当権の登記名義人が当該敷地権の目的であった土地について当該抵当権を消滅させることを承諾したことを証する情報が提供されたときであっても、当該承諾に係る土地について当該抵当権が消滅した旨を登記することはできない。
×
敷地権であった権利を目的とする所有権の登記以外の権利に関する登記があった場合,
その所有権の登記以外の権利の土地または建物についての消滅承諾があったときは,
当該所有権の登記以外の権利に関する登記の消滅を証する書面(消滅承諾書)を添付することで,土地または建物の所有権以外の権利に関する登記を消滅させることができる(法55条1項)。
よって、登記官は、敷地権についてされた登記としての効力を有する抵当権の設定の登記がある敷地権付き区分建物について、
その専有部分と敷地利用権との分離処分を可能とする規約を設定したことにより敷地権の変更の登記をする場合において、
当該変更の登記の申請情報と併せてその抵当権の登記名義人が当該敷地権の目的であった土地について当該抵当権を消滅させることを承諾したことを証する情報が提供されたときは、
当該承諾に係る土地について当該抵当権が消滅した旨を登記することができる。