H26-19筆界特定制度
筆界特定に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
1 アイ 2 アオ 3 イウ 4 ウエ 5 エオ
ア 筆界特定とは、一筆の土地及びこれに隣接する他の土地について、筆界の現地における位置を特定することをいい、その位置を特定することができないときは、その位置の範囲を特定することをいう。
○
筆界特定とは、過去に蓄積された資料などから,筆界特定登記官が筆界の現地における位置などを特定することをいい、位置を特定することができないときは、その位置の範囲が特定することをいう。(法123条2号)。
筆界特定は、新たな筆界を創設したり, 変更したりするものではない。
法123条2号
(定義)
第百二十三条 この章において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
二 筆界特定 一筆の土地及びこれに隣接する他の土地について、この章の定めるところにより、筆界の現地における位置を特定すること(その位置を特定することができないときは、その位置の範囲を特定すること)をいう。
イ 対象土地の筆界について、民事訴訟の手続により筆界の確定を求める訴えが提起された場合であっても、当該訴えに係る判決が確定する前であれば、当該筆界についてされた筆界特定の申請は却下されない。
○
対象土地の筆界について,すでに筆界確定訴訟による判決が確定しているときは却下事由となるが、
係争中(民事訴訟の手続により筆界の確定を求める訴えが提起された場合でも、当該訴えに係る判決が確定する前)であれば却下事由とはならない(法132条1項6号)。
法132条1項6号
(申請の却下)
第百三十二条 筆界特定登記官は、次に掲げる場合には、理由を付した決定で、筆界特定の申請を却下しなければならない。ただし、当該申請の不備が補正することができるものである場合において、筆界特定登記官が定めた相当の期間内に、筆界特定の申請人がこれを補正したときは、この限りでない。
六 対象土地の筆界について、既に民事訴訟の手続により筆界の確定を求める訴えに係る判決(訴えを不適法として却下したものを除く。第百四十八条において同じ。)が確定しているとき。
ウ 甲土地の所有権の登記名義人の相続人は、相続により甲土地の所有権を取得したとしても、甲土地について相続を原因とする所有権の移転の登記がされなければ、甲土地を対象土地とする筆界特定の申請をすることができない。
×
筆界特定は紛争当事者からの申請によって開始される。
紛争当事者とは,
所有権の登記がある1筆の土地にあっては所有権の登記名義人,
表題登記がある1筆の土地にあっては表題部所有者,
表題登記がない1筆の土地にあっては所有者をいい,
所有権の登記名義人または表題部所有者の相続人その他の一般承継人を含む。(法131条1項、法123条5号 、規則209条1項6号)
法131条1項
(筆界特定の申請)
第百三十一条 土地の所有権登記名義人等は、筆界特定登記官に対し、当該土地とこれに隣接する他の土地との筆界について、筆界特定の申請をすることができる。
法123条5号
(定義)
第百二十三条 この章において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
五 所有権登記名義人等 所有権の登記がある一筆の土地にあっては所有権の登記名義人、所有権の登記がない一筆の土地にあっては表題部所有者、表題登記がない土地にあっては所有者をいい、所有権の登記名義人又は表題部所有者の相続人その他の一般承継人を含む。
民法896条
(相続の一般的効力)
第八百九十六条 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。
エ 甲土地の一部の所有権を取得したAは、甲土地の所有権の登記名義人であるBに代位しなければ、甲土地を対象土地とする筆界特定の申請をすることができない。
×
筆界特定の申請は,土地の所有者だけでなく,1筆の土地の一部の所有権を取得した者も,当該土地を対象土地とする筆界特定の申請ができる。また,申請人が所有権を取得した土地の部分が筆界特定の対象となる筆界に接していることを要しない。
その場合は,対象土地の一部の所有権を取得したことを証する所有権証明情報が必要となる(法131条1項、規則209条1項5号)。
法131条1項
(筆界特定の申請)
第百三十一条 土地の所有権登記名義人等は、筆界特定登記官に対し、当該土地とこれに隣接する他の土地との筆界について、筆界特定の申請をすることができる。
規則207条2項4号
(筆界特定申請情報)
2 法第百三十一条第二項第五号の法務省令で定める事項は、次に掲げる事項とする。
四 申請人が一筆の土地の一部の所有権を取得した者であるときは、その旨
平17.12.6民二2760号第3・(A)・14
第3 筆界特定の申請手続
(A)申請権者
(申請権者)
14 筆界特定の申請をすることができる者は,土地の所有権登記名義人等である(法第131条第1項)。その他,1筆の土地の一部の所有権を取得した者も,当該土地を対象土地の1つとする筆界特定の申請をすることができる(規則第207条第2項第4号参照)。1筆の土地の一部の所有権を取得した原因は問わない。例えば,1筆の土地の一部を時効取得した者,1筆の土地の一部の所有権を売買その他の原因により承継取得した者のいずれも1筆の土地の一部の所有権を取得した者として申請をすることができる。また,申請人が所有権を取得した土地の部分が筆界特定の対象となる筆界に接していることを要しない。
申請の権限を有しない者がした申請は,法第132条第1項第2号により却下する。
オ 筆界特定の申請をした後、その手続中に申請人が死亡したときは、申請人の相続人が申請人の地位を承継したものとして、筆界特定の手続を進めることができる。
○
筆界特定の申請後に申請人が死亡した場合,申請人の相続人が申請人の地位を承継したものとして,手続を進めることができる(平17.12.6民二2760号)。
平17.12.6民二2760号第3・(D)・49
第3 筆界特定の申請手続
(D)申請人又は関係人の変動があった場合の措置
(申請人に一般承継があった場合)
49 筆界特定の申請がされた後,筆界特定の手続が終了する前に申請人が死亡したとき又は合併により消滅したときは,申請人の相続人その他の一般承継人が申請人の地位を承継したものとして,筆界特定の手続を進めて差し支えない。