H25-2取得時効
A所有の甲土地についての取得時効に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5まっでのうち、どれか。
1 アウ 2 アエ 3 イエ 4 イオ 5 ウオ
ア Bは、甲土地を無権利者Cから賃借した場合には、甲土地の賃借権を時効によって取得することはできない。
取得時効の対象となる所有権以外の財産権として,用益物権(地上権・ 永小作権・地役権等),賃借権,質権など,占有か継続的な権利行使が可能な権利が挙げられる。
イ Bは、甲土地が自己が所有する物であると過失なく信じ、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と甲土地の占有を開始したものの、それから10年が経過する前に当該占有が、隠匿のものとなった場合には、当該占有の開始から10年間占有を継続しても、甲土地の所有権を時効によって取得することはできない。
取得時効の要件は,平穏かつ公然と占有することである(民法162条1項)。
本肢のように,時効期間中に隠匿した場合,この要件を満たさない。
ウ Bは、甲土地を無権利者Cから買い受け、甲土地が自己が所有する物であると過失なく信じ、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と甲土地の占有を開始したものの、それから10年が経過する前に甲土地がAの所有する物であることを知った場合には当該占有の開始から、10年間占有を継続しても、甲土地の所有権を時効によって取得することはできない。
取得時効の要件である善意無過失は占有の始期に判断する。
その後,悪意に変わっても影響はない。
エ Bは、甲土地が自己が所有する物であると過失なく信じ、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と甲土地の #占有 を開始し、その3年後、甲土地がAの所有する物であることを知っているCに対して甲土地を売却した。この場合において、Cは、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と甲土地の占有を始め、それから7年が経過したときには、甲土地の所有権を時効によって取得することができる。
占有者の承継人は,その選択に従い,自己の占有のみを主張し,または自己の占有に前の占有者の占有を併せて主張することができるが、(民法187条1項)
前の占有者の占有を併せて主張する場合,民法162条2項の要件としての占有者の善意・無過失は,最初の占有者の占有開始時に判定すれば足りる(最判昭53.3.6)。
オ Bは、甲土地がAの所有する物であることを知りながら、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と甲土地の #占有 を始め、その4年後、甲土地がBの所有する物であると過失なく信じたCに対して甲土地を売却した。この場合において、Cは、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と甲土地の占有を始め、それから6年が経過したときには、甲建物の所有権を時効により取得することができる。
占有者の承継人は,その選択に従い,自己の占有のみを主張し,または自己の占有に前の占有者の占有を併せて主張することができるが、(民法187条1項)
前の占有者の占有を併せて主張する場合には,その瑕疵をも承継する(民法187条2項)。