H25-18筆界特定制度
次の対話は、筆界特定に関する教授と学生の対話である。教授の質問に対する次のアからオまでの学生の解答のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
1 アイ 2 アオ 3 イウ 4 ウエ 5 エオ
教授:筆界特定登記官によって筆界特定がされ、筆界特定書が書面をもって作成されたという事例について、考えてみましょう。筆界特定登記官が筆界特定をした後は、どのような手続きが行われますか。
学生:ア 筆界特定登記官は、遅滞なく、筆界特定の申請人に対し、筆界特定書の写しを交付する方法により当該筆界特定書の内容を通知するとともに、筆界特定をした旨を公告し、かつ、関係人に通知しなければなりません。
正しい
筆界特定をしたときは、筆界特定登記官は、遅滞なく、筆界特定の申請人に対し、筆界特定書の写しを交付する方法(筆界特定書が電磁的記録をもって作成されているときは、法務省令で定める方法)により、当該筆界特定書の内容を通知するとともに、
その旨を公告し、かつ,申請人以外の対象土地の所有者と関係土地の所有者にその旨を通知しなければならない。(法 144条1項)。
教授:筆界特定の対象土地の所在地を管轄する登記所がA法務局のB出張所である場合において、筆界特定がされた後は、筆界特定書を含む筆界特定手続記録は、どこに保管されますか。
学生:イ 筆界特定書を含む筆界特定手続記録は、B出張所ではなく、A法務局において保管されます。
正しい
筆界特定の申請人に対する通知がされた場合における筆界特定の手続の記録(以下「筆界特定手続記録」という。)は、対象土地の所在地を管轄する登記所において保管する。(法 145 条)
本肢の場合,筆界特定の事務は筆界特定登記官が置かれるA法務局でおこなわれ、筆界特定手続記録の保管は、A法務局B出張所において保管される。
法145条(筆界特定手続記録の保管)
第百四十五条 前条第一項の規定により筆界特定の申請人に対する通知がされた場合における筆界特定の手続の記録(以下「筆界特定手続記録」という。)は、対象土地の所在地を管轄する登記所において保管する。
教授:筆界特定書を含む筆界特定手続記録に記載された情報の保存期間は、どのようになっていますか。
学生:ウ 筆界特定書を含む筆界特定手続記録に記載された情報の保存期間は、永久とされています。
正しい
筆界特定書に記載され,または記録された情報は, 永久に保存されるが、(規則 235条1項1号)。
筆界特定書以外の筆界特定手続記録に記載され,または記録された情報は、30年間保存される。(規則 235条1項2号)
規則235条(筆界特定手続記録の保存期間等)
第二百三十五条 次の各号に掲げる情報の保存期間は、当該各号に定めるとおりとする。
一 筆界特定書に記載され、又は記録された情報 永久
二 筆界特定書以外の筆界特定手続記録に記載され、又は記録された情報 対象土地の所在地を管轄する登記所が第二百三十三条の規定により筆界特定手続記録の送付を受けた年の翌年から三十年間
教授:筆界特定書が作成された場合においては,誰でも当該筆界特定書の写しの交付を請求することはできますか。
学生:エ はい。何人も、登記官に対し、手数料を納付して、筆界特定書の写しの交付を請求することができます。
正しい
筆界特定書または筆界調査委員が作成した図面の写しは、誰でも手数料を払うことで交付の請求をすることができる。(法 149条1項)
これらを閲覧もすることができるが、筆界特定書以外の筆界特定手続記録については、請求人が利害関係を有する部分に限る。(法 149条2 項)
法149条(筆界特定書等の写しの交付等)
第百四十九条 何人も、登記官に対し、手数料を納付して、筆界特定手続記録のうち筆界特定書又は政令で定める図面の全部又は一部(以下この条及び第百五十三条において「筆界特定書等」という。)の写し(筆界特定書等が電磁的記録をもって作成されているときは、当該記録された情報の内容を証明した書面)の交付を請求することができる。
2 何人も、登記官に対し、手数料を納付して、筆界特定手続記録(電磁的記録にあっては、記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したもの)の閲覧を請求することができる。ただし、筆界特定書等以外のものについては、請求人が利害関係を有する部分に限る。
3 第百十九条第三項及び第四項の規定は、前二項の手数料について準用する。
教授:甲土地の登記記録に 筆界特定がされた旨の記載がある場合において、甲土地から乙土地を分筆する分筆の登記をするときは、分筆後の乙土地につき、筆界特定がされた旨が記録されますか。
学生:オ 筆界特定がされた旨の記録が乙土地の登記記録に転写されることとなります。
正しい
筆界特定がされた場合、筆界特定がされた旨が対象土地の登記記録の地図番号欄に「年月日筆界特定(手続番号年月日何号)」のように記録される。
甲土地から乙土地を分筆する分筆の登記をする場合において,甲土地の登記記録に筆界特定がされた旨の記録があるときは,これを乙土地の登記記録に転写することとし、
甲土地を乙土地に合筆する合筆の登記をする場合において,甲土地の登記記録に筆界特定がされた旨の記録があるときは,これを乙土地の登記記録に移記するものとする。( 規則 234条、平17.12.6 民二2760号)
規則234条(登記記録への記録)
第二百三十四条 筆界特定がされた筆界特定手続記録又は筆界特定書等の写しの送付を受けた登記所の登記官は、対象土地の登記記録に、筆界特定がされた旨を記録しなければならない。
平17.12.6民二2760号
第11 管轄登記所における事務
(C)登記記録等への記録
(登記記録への記録)
162 規則第234条の規定による筆界特定がされた旨の記録は,対象土地の登記記録の地図番号欄(規則別表1参照)に「平成○年○月○日筆界特定(手続番号平成○年第○○号)」とする。ただし,規則第233条第2項の規定により筆界特定書等の写しの送付を受けた登記所にあっては,「平成○年○月○日筆界特定(手続番号△△平成○年第○○号)」(「△△」には,法務局又は地方法務局名を略記する。)とするものとする。(分筆及び合筆の場合の登記記録の処理)
163 甲土地から乙土地を分筆する分筆の登記をする場合において,甲土地の登記記録に筆界特定がされた旨の記録があるときは,これを乙土地の登記記録に転写するものとする。甲土地を乙土地に合筆する合筆の登記をする場合において,甲土地の登記記録に筆界特定がされた旨の記録があるときは,これを乙土地の登記記録に移記するものとする。