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H22-1無権代理と相続

Aは、BからB所有の甲不動産を売却する代理権を与えられていないにもかかわらず、その事情について善意無過失のCとの間で、Bの代理人として甲不動産を、1,000万円で売却する旨の売買契約を締結し、Cから売却代金1,000万円を受け取った。この事例に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。

1 アイ   2 アエ   3 イオ   4 ウエ   5 ウオ 

 

ア CがAに対して無権代理行為による損害賠償として1,000万円を請求したところ、Aが死亡してその地位をBが単独で相続した場合には、Bは、無権代理行為の追認を拒絶することにより、無権代理行為による損害賠償責任を免れることができる。

 

誤り

 

相続人たるB本人が、A被相続人の無権代理行為の追認を拒絶(民法113条)しても、何ら信義則に反せず、

A被相続人の無権代理行為は、B本人の相続により当然有効となるものではない(最判昭37.4.20)。 

だし、Bは追認絶できる地位にあることを理由として、A無権代理人の責任(民法117条1項)も追及されるため、

本肢のB本人は、無権代理行為の追認を拒絶することにより、無権代理行為による損害賠償責任を免れることができない。

 

民法113条(無権代理

第百十三条 代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。
2 追認又はその拒絶は、相手方に対してしなければ、その相手方に対抗することができない。ただし、相手方がその事実を知ったときは、この限りでない。

 

民法117条(無権代理人の責任)

第百十七条 他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明したとき、又は本人の追認を得たときを除き、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。
2 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
一 他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が知っていたとき。
二 他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が過失によって知らなかったとき。ただし、他人の代理人として契約をした者が自己に代理権がないことを知っていたときは、この限りでない。
三 他人の代理人として契約をした者が行為能力の制限を受けていたとき。

   

 

イ CがBに対し甲不動産の引渡しを求めたところ、BがAの無権代理行為の追認を拒絶した後Bが死亡してその地位をAが単独で相続した場合には、Aは、Cから当該売買契約に基ずく甲不動産の引渡請求をされても、Bの上記追認拒絶の効果を主張してCの請求を拒むことができない。

 

誤り

 

無権代理行為は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生ぜず、(民法113条1項)

本人が追認を拒絶すれば無権代理行為の効力が本人に及ばないことが確定し、追認拒絶の後は、本人であっても追認により無権代理行為を有効にすることができない。

B本人の追認拒絶後にBが死亡し、A無権代理人がB本人を相続したとしても、Bによる追認拒絶の効果に何ら影響はない。(最判平成10.7.17)

よって、Aは、Cから当該売買契約に基づく甲不動産の引渡請求をされても、Bの上記追認拒絶の効果を主張してCの請求を拒むことができる。

  

民法113条(無権代理

第百十三条 代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。
2 追認又はその拒絶は、相手方に対してしなければ、その相手方に対抗することができない。ただし、相手方がその事実を知ったときは、この限りでない。

 

民法117条(無権代理人の責任)

第百十七条 他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明したとき、又は本人の追認を得たときを除き、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。
2 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
一 他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が知っていたとき。
二 他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が過失によって知らなかったとき。ただし、他人の代理人として契約をした者が自己に代理権がないことを知っていたときは、この限りでない。
三 他人の代理人として契約をした者が行為能力の制限を受けていたとき。

    

 

ウ CがBに対し甲不動産の引渡しを求めたところ、Bが死亡してその地位をAが他の相続人とともに共同で相続した場合には、Aは、Cから当該売買契約に基ずく甲不動産の引渡請求をされたときは、他の相続人とともに無権代理行為の追認を拒絶してCの請求を拒むことができる。

 

正しい

 

A無権代理人がB本人を共同で相した場合、認権は共同相続人に不可分に帰することから、他の共同相続人全員の追認がない限り、無権代理行為は当然に有となるものではない(最判平5.1.21)。 

って、本肢のように、Aは他の共同相続人とともに無権代理行為の追認を拒絶し、Cの請求を拒むことができる。

  

民法113条(無権代理

第百十三条 代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。
2 追認又はその拒絶は、相手方に対してしなければ、その相手方に対抗することができない。ただし、相手方がその事実を知ったときは、この限りでない。

 

民法117条(無権代理人の責任)

第百十七条 他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明したとき、又は本人の追認を得たときを除き、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。
2 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
一 他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が知っていたとき。
二 他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が過失によって知らなかったとき。ただし、他人の代理人として契約をした者が自己に代理権がないことを知っていたときは、この限りでない。
三 他人の代理人として契約をした者が行為能力の制限を受けていたとき。

   

 

エ CがBに対し甲不動産の引渡しを求めたところ、Bが死亡してその地位をAが単独で相続した場合には、AはCから当該売買契約に基ずく甲不動産の引渡請求をされたときは、無権代理行為の追認を拒絶してCの請求を拒むことができない。

 

正しい

 

A無権代理人がB本人を単独で相続した場合、B本人がみずから法律行為をしたのと同様の法律上の地位が生じ、当然に有効な法律行為となるため、(最判昭40.6.18)

Aは無権代理行為の追認を拒絶してCの請求を拒むことができない。

  

民法113条(無権代理

第百十三条 代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。
2 追認又はその拒絶は、相手方に対してしなければ、その相手方に対抗することができない。ただし、相手方がその事実を知ったときは、この限りでない。

 

民法117条(無権代理人の責任)

第百十七条 他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明したとき、又は本人の追認を得たときを除き、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。
2 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
一 他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が知っていたとき。
二 他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が過失によって知らなかったとき。ただし、他人の代理人として契約をした者が自己に代理権がないことを知っていたときは、この限りでない。
三 他人の代理人として契約をした者が行為能力の制限を受けていたとき。

   

  

オ CがBに対し甲不動産の引渡しを求めたところ、Aが死亡してその地位をB及びAB間の子Dが共同で相続した後Bが死亡してその地位をDが単独で相続した場合には、Dは、Cから当該売買契約に基ずく甲不動産の引渡請求をされたときは、無権代理行為の追認を拒絶してCの請求を拒むことができない。

 

正しい

 

AB間の子Dが、まずA無権代理人をB本人と共に相続し、その後さらにB本人を相続した場合、

当該相続人Dは、B本人みずから法律行為をしたのと同様の地位ないし効果を生ずる(最判昭63.3.1)。

よって、Dは、Cから当該売買契約に基ずく甲不動産の引渡請求をされたときは、無権代理行為の追認を拒絶してCの請求を拒むことができない。

  

民法113条(無権代理

第百十三条 代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。
2 追認又はその拒絶は、相手方に対してしなければ、その相手方に対抗することができない。ただし、相手方がその事実を知ったときは、この限りでない。

 

民法117条(無権代理人の責任)

第百十七条 他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明したとき、又は本人の追認を得たときを除き、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。
2 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
一 他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が知っていたとき。
二 他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が過失によって知らなかったとき。ただし、他人の代理人として契約をした者が自己に代理権がないことを知っていたときは、この限りでない。
三 他人の代理人として契約をした者が行為能力の制限を受けていたとき。

   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

出典:「土地家屋調査士試験」(法務省)(http://www.moj.go.jp/shikaku_saiyo_index5.html)を加工して作成
出典:「測量士・測量士補国家試験及び登録」(国土地理院)(https://www.gsi.go.jp/LAW/SHIKEN/SHIKEN-top.htm)を加工して作成
出典: e-Gov法令検索 (https://elaws.e-gov.go.jp/)を加工して作成