H21-8表題部所有者に関する登記
表題部所有者の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。
1 アエ 2 アオ 3 イウ 4 イエ 5 ウオ
ア 表題部所有者Aは、表題部所有者を真正な所有者であるBとする更正の登記を単独で申請することができる。
誤り
不動産の表題部所有者についての更正の登記は、
当該不動産の所有者以外の者は、申請することができないので、(法33条1項)
表題部所有者(誤って表題部に所有者として記録された者)から申請することはできない。
法33条(表題部所有者の更正の登記等)
第三十三条 不動産の所有者と当該不動産の表題部所有者とが異なる場合においてする当該表題部所有者についての更正の登記は、当該不動産の所有者以外の者は、申請することができない。
2 前項の場合において、当該不動産の所有者は、当該表題部所有者の承諾があるときでなければ、申請することができない。
3 不動産の表題部所有者である共有者の持分についての更正の登記は、当該共有者以外の者は、申請することができない。
4 前項の更正の登記をする共有者は、当該更正の登記によってその持分を更正することとなる他の共有者の承諾があるときでなければ、申請することができない。
イ 表題部所有者AからA及びBとする更正の登記を申請するに当たっては、Bが所有権を有することを証する情報を提供することを要する。
正しい
表題部所有者AからA及びBとする更正の登記を申請するに当たっては、
新たに表題部所有者となるBが所有権を有することを証する情報
を提供しなければならない。(令別表2項・添付情報欄イ)
法33条(表題部所有者の更正の登記等)
第三十三条 不動産の所有者と当該不動産の表題部所有者とが異なる場合においてする当該表題部所有者についての更正の登記は、当該不動産の所有者以外の者は、申請することができない。
2 前項の場合において、当該不動産の所有者は、当該表題部所有者の承諾があるときでなければ、申請することができない。
3 不動産の表題部所有者である共有者の持分についての更正の登記は、当該共有者以外の者は、申請することができない。
4 前項の更正の登記をする共有者は、当該更正の登記によってその持分を更正することとなる他の共有者の承諾があるときでなければ、申請することができない。
令別表2項(表題部所有者についての更正の登記)
二 表題部所有者についての更正の登記 当該登記をすることによって表題部所有者となる者の氏名又は名称及び住所並びに当該表題部所有者となる者が二人以上であるときは当該表題部所有者となる者ごとの持分 イ 当該表題部所有者となる者が所有権を有することを証する情報
ロ 当該表題部所有者となる者の住所を証する市町村長、登記官その他の公務員が職務上作成した情報(公務員が職務上作成した情報がない場合にあっては、これに代わるべき情報)
ハ 表題部所有者の承諾を証する当該表題部所有者が作成した情報又は当該表題部所有者に対抗することができる裁判があったことを証する情報
ウ 表題部所有者A、B及びCの持分が、Aは10分の5、Bは10分の3、Cは10分の2と登記されている不動産について、Bの持分を10分の2、Cの持分を10分の3とする更正の登記をCが申請するに当たっては、他の共有者A及びBの承諾を証する情報を提供することを要する。
誤り
表題部所有者である共有者の持分についての更正の登記については、
添付情報として、
持分を更正することとなる他の共有者(申請人以外)の承諾を証する当該他の共有者が作成した情報
を提供しなければならない。(法33条3項・4項)
本肢の場合、持分を更正することにはならないAの承諾を証する情報
を提供することを要しない。(令別表3項・添付情報欄)
よって、
表題部所有者A、B及びCの持分が、
Aは10分の5、Bは10分の3、Cは10分の2と登記されている不動産について、
Bの持分を10分の2、Cの持分を10分の3とする更正の登記を
Cが申請するに当たっては、
他の共有者Bの承諾を証する情報を提供することを要する。
法33条(表題部所有者の更正の登記等)
第三十三条 不動産の所有者と当該不動産の表題部所有者とが異なる場合においてする当該表題部所有者についての更正の登記は、当該不動産の所有者以外の者は、申請することができない。
2 前項の場合において、当該不動産の所有者は、当該表題部所有者の承諾があるときでなければ、申請することができない。
3 不動産の表題部所有者である共有者の持分についての更正の登記は、当該共有者以外の者は、申請することができない。
4 前項の更正の登記をする共有者は、当該更正の登記によってその持分を更正することとなる他の共有者の承諾があるときでなければ、申請することができない。
令別表3項(表題部所有者である共有者の持分についての更正の登記)
三 表題部所有者である共有者の持分についての更正の登記 更正後の共有者ごとの持分 持分を更正することとなる他の共有者の承諾を証する当該他の共有者が作成した情報又は当該他の共有者に対抗することができる裁判があったことを証する情報
オ 表題部所有者がA及びBである場合に、Aが死亡してB以外に相続人がいないときは、Bは、直ちに自己を単独所有者とする表題部所有者の変更の登記を申請することができる。
誤り
表題部所有者がA及びBである場合に、
Aが死亡してB以外に相続人がいないときは、
Aの持分をBが相続したということになるが、
相続の場合でも、法32条に規定する(表題部所有者の変更等に関する登記手続)に該当するため、
Bは、
A及びBを登記名義人とする所有権の保存の登記をした後、(法74条1項1号)
Aの持分についてBへの所有権の移転の登記を申請する。(法62条)
つまり、Bは、表題部所有者の変更の登記を申請することはできない。
よって、
表題部所有者がA及びBである場合に、
Aが死亡してB以外に相続人がいないときは、
Bは、
直ちに自己を単独所有者とする表題部所有者の変更の登記を申請するのではなく、
A及びBを登記名義人とする所有権の保存の登記をした後、
Aの持分についてBへの所有権の移転の登記を申請する。
法32条(表題部所有者の変更等に関する登記手続)
第三十二条 表題部所有者又はその持分についての変更は、当該不動産について所有権の保存の登記をした後において、その所有権の移転の登記の手続をするのでなければ、登記することができない。
法74条(所有権の保存の登記)
第七十四条 所有権の保存の登記は、次に掲げる者以外の者は、申請することができない。
一 表題部所有者又はその相続人その他の一般承継人
二 所有権を有することが確定判決によって確認された者
三 収用(土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)その他の法律の規定による収用をいう。第百十八条第一項及び第三項から第五項までにおいて同じ。)によって所有権を取得した者
2 区分建物にあっては、表題部所有者から所有権を取得した者も、前項の登記を申請することができる。この場合において、当該建物が敷地権付き区分建物であるときは、当該敷地権の登記名義人の承諾を得なければならない。