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H21-3遺産分割

遺産分割に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。

1 アイ   2 アエ   3 イオ   4 ウエ   5 ウオ

 

ア 遺産分割協議が成立した後であっても、共同相続人全員の合意で分割協議を解除した上で再度分割協議を成立させることができる。

 

誤り

 

共同相続人の全員が、既に成立した遺産分割協議の全部または一部を合意により解除した上、改めて遺産分割協議をすることは妨げられない(最判平2.9.27)。

 

  

イ 相続財産中の不動産につき、遺産分割により法定相続分と異なる権利を取得した相続人は、登記を経なくても、当該分割後に当該不動産につき権利を取得した第三者に対し、当該分割による権利の取得を対抗することができる。

 

誤り

 

Aの不動産を共同相続したBとCとの間で、Bが単独で相続する旨の遺産分割協議が成立した後、CがC持分Dに譲渡した場合、

Cの法定相続分について、Cを起点として、C→B、C→Dの二重譲渡があったものと考えられる。 

BとDは、Cの法定相続分(Bの法定相続分の持分を超える部分)の承継については、対抗関係となる(民法899の2・1項、最判昭46.1.26)。

よって、Bは、Cの土地持分の取得については、記なくしてDに対抗できな。 

 

民法889条の2  (共同相続における権利の承継の対抗要件

第八百九十九条の二 相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、次条及び第九百一条の規定により算定した相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない。
2 前項の権利が債権である場合において、次条及び第九百一条の規定により算定した相続分を超えて当該債権を承継した共同相続人が当該債権に係る遺言の内容(遺産の分割により当該債権を承継した場合にあっては、当該債権に係る遺産の分割の内容)を明らかにして債務者にその承継の通知をしたときは、共同相続人の全員が債務者に通知をしたものとみなして、同項の規定を適用する。

  

 

ウ 遺産分割協議が成立したが、相続人Aがこの協議において相続人Bに対して負担した債務を履行しない場合には、Bは、遺産分割協議を解除することができる。

 

正しい

 

相続人の1人がその協議で負担した債務を履行しないときでも、 遺産分割協議を解除 (民法541条に基づく解除)することはできない(最判平元.2.9)。 

 

民法541条(催告による解除)

第五百四十一条 当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。

 

 

エ 相続放棄をした者は、他の共同相続人の同意があったとしても、遺産分割協議の当事者となることができない。

 

正しい

 

相続の放棄をした者は、初めから相続人ではなかったものとされるため、(民法939条)

他の共同相続人の同意があったとしても、遺産分割協議の当事者となることができない。

 

 

民法939条 (相続の放棄の効力)

第九百三十九条 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。

   

 

オ 被相続人が「甲不動産は相続人Cに相続させる。」との遺言をしていた場合であっても、他の相続人が甲不動産を取得することとし、Cは遺産中の他の財産を取得することとする旨の遺産分割をすることとができる。

 

正しい

 

特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」旨の遺言は、

遺贈と解すべき特段の事情がない限り、当該遺産を当該相続人をして単独で相続させる遺産分割の方法を指定(908条参照)されたものとされ、

当該遺産は、何らの行為を要せずして、被相続人の死亡の時に直ちに相続により承継される。 (最判平3.4.19)

 

 

民法908条(遺産の分割の方法の指定及び遺産の分割の禁止)

第九百八条 被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託し、又は相続開始の時から五年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。

  

 

出典:「土地家屋調査士試験」(法務省)(http://www.moj.go.jp/shikaku_saiyo_index5.html)を加工して作成
出典:「測量士・測量士補国家試験及び登録」(国土地理院)(https://www.gsi.go.jp/LAW/SHIKEN/SHIKEN-top.htm)を加工して作成
出典: e-Gov法令検索 (https://elaws.e-gov.go.jp/)を加工して作成