H20-16建物の表題登記の意義
登記することができる建物に関する次の1から5までの記述のうち、誤っているものはどれか。
1 屋根及び外壁があって、内部に車を格納する回転式のパーキング機械が設置されているタワー状の立体式の駐車場は、建物として登記をすることができる。
正しい
本肢の建物はタワーパーキングと呼ばれるが、
内部が階層に区分されていないので、天井の高い平屋建の建物として登記する。(建物認定)
2 Aが所有する建物とBが所有する建物について、屋根が密着し、外観では一棟の建物のように見られる場合であっても、柱、壁が別々であるときは、A及びBが所有するそれぞれの部分を区分建物でない建物として登記をすることができる。
正しい
屋根が密着し、外観では一棟の建物のように見られる場合であっても、
各建物ごとに柱、壁が別々であり、構造上別棟として建築された複数の建物が単に接触している場合、
各建物をそれぞれ独立した建物(区分建物でない建物)として登記をすることができる。(建物認定)
3 桟橋の上に店舗として建設した建物は、たとえ桟橋に定着性があったとしても建物として認めることはできない。
誤り
建物の土地への定着方法は、必ずしも土地に直接付着している必要はない。
建物が、海底からの脚柱により支えられた永久的な施設としてのさん橋の上に存する場合又は固定した浮船を利用したものである場合については,
その建物から最も近い土地の地番を用い,「何番地先」のように記録するものとする。(準則88条4項)
準則88条(建物の所在の記録方法)
1.建物の登記記録の表題部に不動産所在事項を記録する場合において,当該建物が他の都道府県にまたがって存在するときは,不動産所在事項に当該他の都道府県名を冠記するものとする。
2.建物の登記記録の表題部に2筆以上の土地にまたがる建物の不動産所在事項を記録する場合には,床面積の多い部分又は主たる建物の所在する土地の地番を先に記録し,他の土地の地番は後に記録するものとする。
3.前項の場合において,建物の所在する土地の地番を記録するには,「6番地,4番地,8番地」のように記録するものとし,「6,4,8番地」のように略記してはならない。ただし,建物の所在する土地の地番のうちに連続する地番(ただし,支号のあるものを除く。)がある場合には,その連続する地番を,例えば,「5番地ないし7番地」のように略記して差し支えない。
4.建物が永久的な施設としてのさん橋の上に存する場合又は固定した浮船を利用したものである場合については,その建物から最も近い土地の地番を用い,「何番地先」のように記録するものとする。
4 外壁の形態が観音像であり、内部に祭壇が設けられ参拝者が着席することができ、寺院の本堂として利用されている建造物は、建物として登記をすることができる。
誤り
本肢のように、寺院の本堂として利用されている建造物には、
用途性が認められるので建物として登記することができる。(建物認定、昭和30・4・9民甲694号回答)
5 高架線構造物の下部(いわゆるガード下)の土地に、定着する基礎、壁等を設けて建造した店舗、倉庫等は、建物として登記をすることができる。
正しい
外気を分断する屋根及び周壁は、他の工作物の構造を利用して設けることもできるので、
ガード下を利用して築造した店舗,倉庫等の建造物も建物として登記することができる。(準則77条1号ウ、建物認定)
準則77条(建物認定の基準)
建物の認定に当たっては,次の例示から類推し,その利用状況等を勘案して判定するものとする。
一 建物として取り扱うもの
ア 停車場の乗降場又は荷物積卸場。ただし,上屋を有する部分に限る。
イ 野球場又は競馬場の観覧席。ただし,屋根を有する部分に限る。
ウ ガード下を利用して築造した店舗,倉庫等の建造物
エ 地下停車場,地下駐車場又は地下街の建造物
オ 園芸又は農耕用の温床施設。ただし,半永久的な建造物と認められるものに限る。二 建物として取り扱わないもの
ア ガスタンク,石油タンク又は給水タンク
イ 機械上に建設した建造物。ただし,地上に基脚を有し,又は支柱を施したものを除く。
ウ 浮船を利用したもの。ただし,固定しているものを除く。
エ アーケード付街路(公衆用道路上に屋根覆いを施した部分)
オ 容易に運搬することができる切符売場又は入場券売場等