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H19-12土地分筆登記

分筆の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。

1 アウ   2 アオ   3 イウ   4 イエ   5 エオ

 

ア 敷地権付き区分建物の目的となっている土地について分筆の登記の申請をする場合において、当該区分建物において管理組合の理事長を管理者として定めているときは、その理事長が単独で分筆の登記を申請することができる。

 

×

区分建物の敷地権の目的となっている土地の分筆の登記は,
敷地権が所有権であるときは、その敷地権の表示をした全部の区分建物の所有権の登記名義人全員から申請し、
敷地権が地上権又は賃借権であるときは、その土地の所有権の登記名義人から申請する。(法39条1項)
→管理組合の理事長から単独で申請することはできない。 

 

法39条(分筆又は合筆の登記)

第三十九条 分筆又は合筆の登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない。
2 登記官は、前項の申請がない場合であっても、一筆の土地の一部が別の地目となり、又は地番区域(地番区域でない字を含む。第四十一条第二号において同じ。)を異にするに至ったときは、職権で、その土地の分筆の登記をしなければならない。
3 登記官は、第一項の申請がない場合であっても、第十四条第一項の地図を作成するため必要があると認めるときは、第一項に規定する表題部所有者又は所有権の登記名義人の異議がないときに限り、職権で、分筆又は合筆の登記をすることができる。

  

法73条(敷地権付き区分建物に関する登記等)

第七十三条 敷地権付き区分建物についての所有権又は担保権(一般の先取特権、質権又は抵当権をいう。以下この条において同じ。)に係る権利に関する登記は、第四十六条の規定により敷地権である旨の登記をした土地の敷地権についてされた登記としての効力を有する。
ただし、次に掲げる登記は、この限りでない。
一 敷地権付き区分建物についての所有権又は担保権に係る権利に関する登記であって、区分建物に関する敷地権の登記をする前に登記されたもの(担保権に係る権利に関する登記にあっては、当該登記の目的等(登記の目的、申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付をいう。以下この号において同じ。)が当該敷地権となった土地の権利についてされた担保権に係る権利に関する登記の目的等と同一であるものを除く。)
二 敷地権付き区分建物についての所有権に係る仮登記であって、区分建物に関する敷地権の登記をした後に登記されたものであり、かつ、その登記原因が当該建物の当該敷地権が生ずる前に生じたもの
三 敷地権付き区分建物についての質権又は抵当権に係る権利に関する登記であって、区分建物に関する敷地権の登記をした後に登記されたものであり、かつ、その登記原因が当該建物の当該敷地権が生ずる前に生じたもの
四 敷地権付き区分建物についての所有権又は質権若しくは抵当権に係る権利に関する登記であって、区分建物に関する敷地権の登記をした後に登記されたものであり、かつ、その登記原因が当該建物の当該敷地権が生じた後に生じたもの(区分所有法第二十二条第一項本文(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定により区分所有者の有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない場合(以下この条において「分離処分禁止の場合」という。)を除く。)

2 第四十六条の規定により敷地権である旨の登記をした土地には、敷地権の移転の登記又は敷地権を目的とする担保権に係る権利に関する登記をすることができない。
ただし、当該土地が敷地権の目的となった後にその登記原因が生じたもの(分離処分禁止の場合を除く。)又は敷地権についての仮登記若しくは質権若しくは抵当権に係る権利に関する登記であって当該土地が敷地権の目的となる前にその登記原因が生じたものは、この限りでない。

  

 
イ 不在者の財産管理人は、家庭裁判所の許可を得なくとも、不在者の土地について分筆の登記を申請することができる。

 

不在者の財産管理人が,不在者の土地について分筆の登記又は合筆の登記を申請する行為は,
民法103条2号の改良行為とされるので,家庭裁判所の許可を要しない(登記研究516号195頁,民法28条)

 

民法28条(管理人の権限)

第二十八条 管理人は、第百三条に規定する権限を超える行為を必要とするときは、家庭裁判所の許可を得て、その行為をすることができる。不在者の生死が明らかでない場合において、その管理人が不在者が定めた権限を超える行為を必要とするときも、同様とする。 

 

民法103条(権限の定めのない代理人の権限)

第百三条 権限の定めのない代理人は、次に掲げる行為のみをする権限を有する。
一 保存行為
二 代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為

 

 
ウ 相続登記がされた土地について、当該土地を分筆した上で分筆後の土地を各相続人が単独で所有する旨の遺産分割の調停が成立した場合において、当該土地の分筆の登記の申請に他の相続人の協力が得られないときは、代位により単独で分筆の登記を申請することができる。

 

共同相続の登記後,当該土地を数筆に分筆し分筆後の土地をそれぞれ相続人らの一部の者の単有又は共有とする旨の遺産分割の調停が成立した場合、
調停に基づく土地の分筆の登記をなすにつき他の共同相続人の協力が得られないときは,
当該土地の一部を相続することとなった者は,調停調書の正本又は謄本を代位原因証書とし、
協力を得られない者に代位して分筆の登記を申請することができる(平成2・4・24民三1528号回答)

→R3-21

  

エ 甲地の全部に乙地を要役地とする地役権の設定の登記がされ、その後に、乙地について所有権の移転の仮登記がされた場合において、甲地から丙地を分筆し、丙地について地役権を消滅させる旨の分筆の登記の申請をするときは、その地役権者が丙地について地役権を消滅させることを承諾したことを証する情報のほか、仮登記名義人が同様に承諾したことを証する情報を併せて提供しなければならない。

 

要役地の所有権の仮登記権利者は、地役権と同一の地位にある者なので、
地役
権者が地役権を消滅させることを承諾したことを証する情報を添付情報として承役地の分筆登記の申請する場合(法40条)には,
仮登記名義人が同様承諾したことを証する情報を併せて提供しなければならな(規則104条2項)

 

 
オ 甲地について、未成年者A並びにAの父B及び母Cの共有に属する旨の登記がある場合には、B及びCのみが申請人として甲地の分筆の登記を申請することができる。

 

×

共有である土地の分筆の登記は,共有者全員で申請することを要し,(法39条1項)
共有者の1人が未成年者でも、その者を除いた他の共有者から申請することはできない。
→この場合に,未成年者に意思能力があれば,自ら申請できるが、意思能力がないときは,父母が法定代理人となって申請する。
→甲地について、未成年者A並びにAの父B及び母Cの共有に属する旨の登記がある場合には、B及びCのみが申請人として甲地の分筆の登記を申請することはできない。
→A(又はAの法定代理人)、B及びCの共有者全員を申請人としなければ、甲地の分筆の登記を申請できない。
 

出典:「土地家屋調査士試験」(法務省)(http://www.moj.go.jp/shikaku_saiyo_index5.html)を加工して作成
出典:「測量士・測量士補国家試験及び登録」(国土地理院)(https://www.gsi.go.jp/LAW/SHIKEN/SHIKEN-top.htm)を加工して作成
出典: e-Gov法令検索 (https://elaws.e-gov.go.jp/)を加工して作成