H18-14土地分筆登記
分筆の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組み合わせは、後記1から5までのうちどれか。
1 アイ 2 アオ 3 イウ 4 ウエ 5 エオ
ア 甲土地の所有権の登記名義人であるAが死亡し、B、C及びDがAを相続した場合において、甲土地を(イ)部分及び(ロ)部分に分筆し、(イ)部分をBが、(ロ)部分をCが相続する旨の遺産分割協議が成立したときは、B及びCは、(イ)部分及び(ロ)部分を表示した図面が添付された遺産分割協議書を添付情報として提供して、甲土地を(イ)部分と(ロ)部分に分筆する分筆の登記を申請することができる。
○
被相続人名義の土地の分筆の登記は、原則相続人全員から申請しなければならない。
→遺産分割協議がなされている場合、当該遺産分割協議書を相続があったことを証する情報として提供し、(令7条1項4号)
Dを除くB及びC(遺産分割により当該土地を取得した相続人全員)から、分筆の登記を申請することができる。(登記研究)
→R3-21
法30条(一般承継人による申請)
第三十条 表題部所有者又は所有権の登記名義人が表示に関する登記の申請人となることができる場合において、当該表題部所有者又は登記名義人について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人は、当該表示に関する登記を申請することができる。
法39条(分筆又は合筆の登記)
第三十九条 分筆又は合筆の登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない。
2 登記官は、前項の申請がない場合であっても、一筆の土地の一部が別の地目となり、又は地番区域(地番区域でない字を含む。第四十一条第二号において同じ。)を異にするに至ったときは、職権で、その土地の分筆の登記をしなければならない。
3 登記官は、第一項の申請がない場合であっても、第十四条第一項の地図を作成するため必要があると認めるときは、第一項に規定する表題部所有者又は所有権の登記名義人の異議がないときに限り、職権で、分筆又は合筆の登記をすることができる。
令7条(添付情報)
第七条 登記の申請をする場合には、次に掲げる情報をその申請情報と併せて登記所に提供しなければならない。
一 申請人が法人であるとき(法務省令で定める場合を除く。)は、次に掲げる情報
イ 会社法人等番号(商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第七条(他の法令において準用する場合を含む。)に規定する会社法人等番号をいう。以下このイにおいて同じ。)を有する法人にあっては、当該法人の会社法人等番号
ロ イに規定する法人以外の法人にあっては、当該法人の代表者の資格を証する情報
二 代理人によって登記を申請するとき(法務省令で定める場合を除く。)は、当該代理人の権限を証する情報
三 民法第四百二十三条その他の法令の規定により他人に代わって登記を申請するときは、代位原因を証する情報
四 法第三十条の規定により表示に関する登記を申請するときは、相続その他の一般承継があったことを証する市町村長(特別区の区長を含むものとし、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあっては、区長又は総合区長とする。第十六条第二項及び第十七条第一項を除き、以下同じ。)、登記官その他の公務員が職務上作成した情報(公務員が職務上作成した情報がない場合にあっては、これに代わるべき情報)
五 権利に関する登記を申請するときは、次に掲げる情報
イ 法第六十二条の規定により登記を申請するときは、相続その他の一般承継があったことを証する市町村長、登記官その他の公務員が職務上作成した情報(公務員が職務上作成した情報がない場合にあっては、これに代わるべき情報)
ロ 登記原因を証する情報。ただし、次の(1)又は(2)に掲げる場合にあっては当該(1)又は(2)に定めるものに限るものとし、別表の登記欄に掲げる登記を申請する場合(次の(1)又は(2)に掲げる場合を除く。)にあっては同表の添付情報欄に規定するところによる。
(1) 法第六十三条第一項に規定する確定判決による登記を申請するとき 執行力のある確定判決の判決書の正本(執行力のある確定判決と同一の効力を有するものの正本を含む。以下同じ。)
(2) 法第百八条に規定する仮登記を命ずる処分があり、法第百七条第一項の規定による仮登記を申請するとき 当該仮登記を命ずる処分の決定書の正本
ハ 登記原因について第三者の許可、同意又は承諾を要するときは、当該第三者が許可し、同意し、又は承諾したことを証する情報
六 前各号に掲げるもののほか、別表の登記欄に掲げる登記を申請するときは、同表の添付情報欄に掲げる情報
2 前項第一号及び第二号の規定は、不動産に関する国の機関の所管に属する権利について命令又は規則により指定された官庁又は公署の職員が登記の嘱託をする場合には、適用しない。
3 次に掲げる場合には、第一項第五号ロの規定にかかわらず、登記原因を証する情報を提供することを要しない。
一 所有権の保存の登記を申請する場合(敷地権付き区分建物について法第七十四条第二項の規定により所有権の保存の登記を申請する場合を除く。)
二 法第百十一条第一項の規定により民事保全法(平成元年法律第九十一号)第五十三条第一項の規定による処分禁止の登記(保全仮登記とともにしたものを除く。次号において同じ。)に後れる登記の抹消を申請する場合
三 法第百十一条第二項において準用する同条第一項の規定により処分禁止の登記に後れる登記の抹消を申請する場合
四 法第百十三条の規定により保全仮登記とともにした処分禁止の登記に後れる登記の抹消を申請する場合
イ 地役権の登記がある承役地の分筆の登記を申請する場合において、地役権設定の範囲が分筆後の土地の一部であるときは、添付情報として、当該地役権設定の範囲を証する地役権者が作成した情報又は当該地役権者に対抗することができる裁判があったことを証する情報を提供しなければならない。
○
地役権の登記がある承役地の分筆の登記を申請する場合において、
地役権設定の範囲が分筆後の土地の一部であるときは、
当該地役権設定の範囲を証する地役権者が作成した情報又は当該地役権者に対抗することができる裁判があったことを証する情報(及び地役権図面)を添付情報としなければならない。(令別表8甲・添付情報欄ロ)
→地役権者(=要役地の所有者)が、分筆後も承役地について地役権が存続することを証するため。
法39条(分筆又は合筆の登記)
第三十九条 分筆又は合筆の登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない。
2 登記官は、前項の申請がない場合であっても、一筆の土地の一部が別の地目となり、又は地番区域(地番区域でない字を含む。第四十一条第二号において同じ。)を異にするに至ったときは、職権で、その土地の分筆の登記をしなければならない。
3 登記官は、第一項の申請がない場合であっても、第十四条第一項の地図を作成するため必要があると認めるときは、第一項に規定する表題部所有者又は所有権の登記名義人の異議がないときに限り、職権で、分筆又は合筆の登記をすることができる。
令別表8項(分筆の登記)
八 分筆の登記 イ 分筆後の土地の所在する市、区、郡、町、村及び字並びに当該土地の地目及び地積
ロ 地役権の登記がある承役地の分筆の登記を申請する場合において、地役権設定の範囲が分筆後の土地の一部であるときは、当該地役権設定の範囲 イ 分筆後の土地の地積測量図
ロ 地役権の登記がある承役地の分筆の登記を申請する場合において、地役権設定の範囲が分筆後の土地の一部であるときは、当該地役権設定の範囲を証する地役権者が作成した情報又は当該地役権者に対抗することができる裁判があったことを証する情報及び地役権図面
ウ 甲土地を(イ)部分及び(ロ)部分に分筆する場合において、分筆前の甲土地の登記簿上の地積と、分筆後の(イ)部分及び(ロ)部分を測量して得られた地積の合計との差が、分筆前の地積を基準にして地積測量図の誤差の限度内であるときは地積に関する更正の登記をせずに分筆の登記を申請することができる。
○
甲土地を(イ)部分及び(ロ)部分に分筆する場合において、分筆前の甲土地の登記簿上の地積と、分筆後の(イ)部分及び(ロ)部分を測量して得られた地積の合計との差が、
①分筆前の地積を基準にして地積測量図の誤差の限度内であるとき→土地分筆登記
②分筆前の地積を基準にして地積測量図の誤差の限度を超えるとき→土地地積更生・分筆登記
法39条(分筆又は合筆の登記)
第三十九条 分筆又は合筆の登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない。
2 登記官は、前項の申請がない場合であっても、一筆の土地の一部が別の地目となり、又は地番区域(地番区域でない字を含む。第四十一条第二号において同じ。)を異にするに至ったときは、職権で、その土地の分筆の登記をしなければならない。
3 登記官は、第一項の申請がない場合であっても、第十四条第一項の地図を作成するため必要があると認めるときは、第一項に規定する表題部所有者又は所有権の登記名義人の異議がないときに限り、職権で、分筆又は合筆の登記をすることができる。
準則72条(分筆の登記の申請)
1.分筆の登記を申請する場合において,分筆前の地積と分筆後の地積の差が,分筆前の地積を基準にして規則第77条第5項の規定による地積測量図の誤差の限度内であるときは,地積に関する更正の登記の申請を要しない。
2.分筆の登記を申請する場合において提供する分筆後の土地の地積測量図には,分筆前の土地が広大な土地であって,分筆後の土地の一方がわずかであるなど特別の事情があるときに限り,分筆後の土地のうち1筆の土地について規則第77条第1項第5号から第8号までに掲げる事項(同項第5号の地積を除く。)を記録することを便宜省略して差し支えない。
エ 甲土地の所有権の登記名義人であるAが、Aの死亡による相続の開始から5年間遺産の分割を禁止する旨の遺言をして死亡した場合、Aの相続人は、その期間内は、甲土地の分筆の登記を申請することができない。
×
被相続人は、遺言で、相続開始の時から五年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができるが、(民法908条)
これにより禁止されるのは、相続財産を各共同相続人へ配分する遺産分割であり、
相続財産である土地を不動産登記法上数個の土地とする分筆の登記を禁止するものではない。
→分筆後の土地につき、所有権の移転の登記(遺産の分割)はすることはできない。
法39条(分筆又は合筆の登記)
第三十九条 分筆又は合筆の登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない。
2 登記官は、前項の申請がない場合であっても、一筆の土地の一部が別の地目となり、又は地番区域(地番区域でない字を含む。第四十一条第二号において同じ。)を異にするに至ったときは、職権で、その土地の分筆の登記をしなければならない。
3 登記官は、第一項の申請がない場合であっても、第十四条第一項の地図を作成するため必要があると認めるときは、第一項に規定する表題部所有者又は所有権の登記名義人の異議がないときに限り、職権で、分筆又は合筆の登記をすることができる。
オ 甲土地の所有権の登記名義人であるAから売買により甲土地の全部の所有権を取得したBは、所有権の移転の登記をする前であっても、Aに代位して、甲土地の分筆の登記を申請することができる。
×
代位による分筆の登記の申請をするには、分筆の登記をしなければ保全されない債権が存在することが必要である。(民法423条)
→一筆の土地全部を買い受けた者Bが有することになる所有権移転登記請求権(債権)は、分筆の登記をしなければ保全されるものではない
→買主Bは、売主A(所有権の登記名義人)に代位して、分筆の登記を申請することはできない。
法39条(分筆又は合筆の登記)
第三十九条 分筆又は合筆の登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない。
2 登記官は、前項の申請がない場合であっても、一筆の土地の一部が別の地目となり、又は地番区域(地番区域でない字を含む。第四十一条第二号において同じ。)を異にするに至ったときは、職権で、その土地の分筆の登記をしなければならない。
3 登記官は、第一項の申請がない場合であっても、第十四条第一項の地図を作成するため必要があると認めるときは、第一項に規定する表題部所有者又は所有権の登記名義人の異議がないときに限り、職権で、分筆又は合筆の登記をすることができる。