A,B及びCが甲建物の持分を3分の1ずつ共有している場合に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合わせは、後記1から5までのうちどれか。
1 アイ 2 アエ 3 イウ 4 ウオ 5 エオ
ア Dが甲建物を権原なく占有している場合には、Aは、Dに対し、単独で甲建物の明渡しを請求することができる。
正しい
占有を第三者に奪われた場合、
共有物の引渡し若しくは明渡し請求は、保存行為(民法252条ただし書)なので、
各共有者が単独で,その全部の明渡しを請求することができる(大判大7.4.19)。
民法252条(共有物の管理)
第二百五十二条 共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。
イ AがB及びCの了解を得ることなく単独で甲建物を占有している場合には、B及びCは、Aに対し、直ちに甲建物の明渡しを請求することができる。
誤り
共有持分の価格が過半数を超える場合でも、
共有者の1人が単独で甲建物を占有している場合には、明渡請求は認められない(最判昭41.5.19)。
民法252条(共有物の管理)
第二百五十二条 共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。
ウ A、B及びCがEに対して甲建物を賃貸した場合において、Eが賃料を長期にわたって支払わないときは、Aは、単独でEとの賃貸借契約を解除することができる。
誤り
共有地の賃貸借契約の解除は管理行為 (民法252 条本文)なので、
持分の価格の過半数で決する。(最判昭39.2.25)
民法252条(共有物の管理)
第二百五十二条 共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。
エ Aは、Fに対する債務を担保するため、甲建物の自己の持分について抵当権を設定することができる。
正しい
持分権は、各共有者が自由に処分できる。
オ AがB及びCの了解を得ることなくGに対して甲建物を賃貸している場合には、B及びCは、Gに対し、直ちに甲建物の明渡しを請求することができる。
誤り
共有者の1人が共有者間の協議に基づかないで共有地を第三者に使用させている場合でも、
第三者の占有使用が共有者の1人の持分に基づくものと認められる限り、
当該第三者に対して当然には明渡しを請求することはできない(最判昭63.5.20)。